「真実の物語だから感動も真実である」フロントライン アベちゃんさんの映画レビュー(感想・評価)
真実の物語だから感動も真実である
コロナが世界を暗い闇のように覆った3年間は、誰しも何らかの形で人生を変えさせられた。大切な家族や友人を亡くした方もいるだろうし、仕事を失ったり大切な資産が消失した方もいるだろう。何かを我慢しないと生きてはいけなかったあの頃、絶対に戻りたくないし、同じようなことはもう起きてほしくない。そのようなことを皆が思ってるなか、日本における最初のコロナのクラスター発生、3年間のコロナ禍の最初の出来事を勇気を持って真正面に映画にしたくれたことがとにかく凄いと思う。
DMAT(災害派遣医療チーム)は1995年の阪神・淡路大震災きっかけに組織されたボランティア医療チームとのことだが、一般の我々がこのダイアモンド・プリンセス号の出来事の際、彼らがこのように決死の覚悟で取り組んでいたことを知ることはできなかった。当時の報道はコロナウイルスが国内に入り蔓延することの恐怖が支配し、乗客の安否を心配してはいたもののクルーズ船そのものを外敵のように扱い、対策の方も時間がかかり何も進んでいないかのように伝えていいた。
だが、真実はこのような誰も経験していない困難に直面し戦った人々がいたのです。DMATのチームの皆さん、56ヵ国にも及ぶクルーズ船の乗客、クルーの皆さん、藤田医科大学病院など受入した医療機関の医師、看護師、厚生労働省や県の関係者、、。彼ら彼女たちは家に帰ればただの普通の人々であり、偶然に関わったのであるが、ウイルスと隣り合わせているにも関わらず勇敢に立ち向かっていった。
映画のメインキャストとなった小栗旬、松坂桃李、池松壮亮、窪塚洋介の4名をはじめクルーの森七菜、乗客のブラウン夫婦らほとんどの方が実際にモデルがいらっしゃる。とりわけ小栗旬演じた結城、窪塚洋介演じた仙道は当時この任にあたったDMTの阿南調整本部長、近藤事務局次長が実在する。2011年の東日本大震災でも直近の能登半島地震でもバディを組んでいたとのことである。なので劇中の福島での話も実話である。そして、そもそもこのダイアモンド・プリンセス号の話を映画化しようと思い立ったのは企画・脚本・プロデュースの増本淳(救命病棟、ドクターコトー、コードブルー等の医療ドラマNetflixのTHE DAYSをプロデュース)。300ページに及ぶ取材ノートを基にドラマが作られた。さらに監督はドキュメンタリー映画も作る関根光才。だからエンタメとしての派手さはないが、リアリティは半端ない。正に真実の物語である。
長い戦いの後、乗客乗員が下船を終え、小栗旬はもう1人のバディとなった厚生労働省の松坂桃李とお互いの労をねぎらい、窪塚洋介は次のクラスター発生地に向かい、池松壮亮は久々に家族と再会できた。もちろんコロナとの戦いはこれからなのだが、、。
本当に素晴らしい映画でした。今年の邦画の大作映画は「国宝」で決まり!と思ってましたが、この「フロントライン」も並んで評される傑作と言えるでしょう。
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