「恐らく忘れてしまう」フロントライン ひぐまさんさんの映画レビュー(感想・評価)
恐らく忘れてしまう
最初は関根監督の過去作「太陽の塔」のようなドキュメンタリーなのかなと思っていた。しかしながら映画はスター俳優を並べエンターテイメントに昇華させようとしていた。ゆえにエンドロールに注釈があったようにマスクのシーンも意外に少ない。そして特定の人物だけにスポットライトが当たるような構成となっている。吹石満演じる医師(I田先生がモデル)と、それを利用するマスメディアが悪者という実際にあったファクトを用いドラマ性を高める。
悪い話ではないのだが…それらの攻防が私の中で終始ジレンマだった。
自宅に戻った真田医師(池松壮亮)が妻にハグをする際に一瞬ためらうところがリアルだった。彼を始め日本側の演者はみなよく演じたと思う。対照的に…どうして本作だけではないのだが日本製作の映画に出る外国人の方々はみんな拙いお芝居をしてしまうのか不思議で仕方がない。
恐らく、この映画に描かれた事実も「名もない民間の医師が見えない恐怖と対峙した」物語として憶えているだろうが、自身と自身の周囲の厄災などは忘れてしまうに違いない。
自身もコロナ再末期に感染しほんの軽症で済んだのだが、映画を鑑賞している間中、やけに他人事のように思えてきてしまった。それではいけないという思いもまたジレンマのひとつだ。
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