ドールハウスのレビュー・感想・評価
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この映画のおかげで夜中に怖い目にあった…
巧い。泣いた。矢口史靖、好調。
人形はやばいです
長澤まさみさんに釣られて鑑賞。
冒頭の衝撃の娘の喪失。幸せの絶頂からの一気に転落。精神を病んでいた中、ふと目にした日本人形…。この時点ですでに祟りの予感。
引き離しても、捨てても戻ってきてしまう人形という、ど真ん中の物語を基軸に、アレンジやひねりを加えながら、過去の事実が明らかになっていくという展開。使い古されたネタを少しリフレッシュさせた感じか。
個人的には、人形という映像だけですでに怖い。焦点があっているような、いないような目、笑っているような、すましているような口元。アップで見せられるだけでホラーです。
その、個人的に弱いとこを突かれたホラーだが、思ったより後に引かなかった。「その昔の怨念」の話が怖いだけで、現代の「人間の憎悪」などの醜悪さがないからだろうか。王道の、「祟りは怖いけど生きてる人間も相当だね」といったエッセンスがほとんど無いためか、話の展開も少しとっ散らかってしまい、物語が浅くなってしまった感がある。内容的には悪く無いので、少し惜しい。
そうそう、中身と関係ないが、後半登場の田中哲司さん、どうしてもSPECの冷泉先生に見えてしまう。ラミパス、ラミパス…さすがにレモンは齧らなかったけど。
暑くなってきたので、涼しい映画館でこんな怪談を楽しむのも一興ですね。
矢口史靖監督の新境地!絶対に戻ってくる日本人形の恐怖
【イントロダクション】
娘を失った悲しみを骨董市で見つけた人形で癒す(ドールセラピー)母親が、やがて人形に付き纏われる恐怖に晒される。
主演、長澤まさみ。監督・原案・脚本は『ウォーターボーイズ』(2001)、『スウィングガールズ』(2004)の矢口史靖。
第45回ポルト国際映画祭グランプリ受賞、
【ストーリー】
住宅街で子育てに励んでいた鈴木佳恵(長澤まさみ)は、交代制で近所の子供達の世話を引き受けた。しかし、家のお菓子やジュースを切らしてしまっており、佳恵は1人娘である5歳の芽衣に留守番を頼む。
子供達は家の中でかくれんぼを始め、芽衣は隠れ場所がなく困っていた。佳恵がスーパーのレジ待ちをしている最中、他所の主婦が近所で不審者が出た話をしている。心配になり急いで帰宅する佳恵だったが、芽衣はかくれんぼの最中に行方不明となっていた。
連絡を受けた看護師の夫・忠彦(瀬戸康史)が帰宅すると、既に警察が来ており、芽衣の捜索願いが出されていた。心配で塞ぎ込む佳恵を励まそうと、忠彦は飲み物を差し出すが、佳恵は誤ってテーブルクロスに溢してしまう。
テーブルクロスを洗濯しようと、佳恵はドラム式洗濯機のドアを開ける。そこには、中から開けることが出来ずに窒息死していた芽衣がいた。
1年後、引っ越し先で荷解きも満足に済んでいないまま、佳恵は忠彦の勤務する病院でセラピーに参加していた。佳恵は、未だに芽衣を失った悲しみと自己嫌悪から抜け出せないままだった。心配して家を訪れた姑の敏子(風吹ジュン)は、近所の神社で行われるお焚き上げを提案し、チラシを渡していく。
ベランダでチラシに目を通す佳恵だったが、突風によりチラシが飛ばされてしまう。慌てて家を飛び出して追いかけた佳恵は、近所で行われていた骨董市に辿り着く。
夜、忠彦が帰宅すると、佳恵は上機嫌で夕食の支度をしている。佳恵が元気を取り戻した様子にホッとしたのも束の間、忠彦はテーブルに座らされた古い日本人形を目の当たりにする。それは、佳恵が骨董市で気に入って買ってきたものだった。
佳恵は人形の汚れを丁寧に拭き落とし、髪型を整え、爪を切り揃え、“アヤ”という名前を付けて大層可愛がった。人形に亡き娘の面影を重ねる佳恵に忠彦はどう接していいか分からずにいたが、病院の医師から“ドールセラピー”と呼ばれる、家族やペットを失った悲しみを人形で癒す方法を紹介され、佳恵のリハビリになるのならばと、彼女と共にアヤと日々を過ごす。
家にはアヤとの思い出の写真が沢山飾られるようになった。そんなある日、佳恵は2人目を妊娠する。
やがて、鈴木家には真衣という娘が生まれ、2人はアヤを他所に新しい娘の子育てに夢中となった。あれだけ飾られていたアヤとの写真は、全て真衣との思い出に掛け替えられた。
ある日、佳恵は泣きじゃくる真衣をあやそうと、真衣のベビーベッドにアヤを横たわらせる。しかし、佳恵が目を離した僅かな時間に、真衣の首には正体不明の長い髪の毛が巻き付き、危うく命が危険に晒されるところだった。佳恵はアヤを気味悪がり、買ってきた際に収められていた大量のお札が貼られた箱にアヤを戻し、クローゼットの奥に仕舞い込んだ。
5年後、亡き娘と同じ5歳に成長した真衣は、ひょんなことからアヤを見つける。佳恵は「昔からウチにある人形だから、大切に扱ってね」と、アヤを真衣に与える。しかし、次第に佳恵や真衣の周囲で不可解な現象が起こるようになる…。
【感想】
矢口史靖監督の新境地!日本人形という日本古来からの怪談話のモチーフに、『リング』(1998)、『仄暗い水の底から』(2002)といったJホラーの名作の要素を織り交ぜながら、古き良き、しかし確実に現代的要素を含んだ新しいJホラーの傑作を生み出した。
矢口監督といえば、青春モノやコメディといった“万人ウケする明るい作品”で知られており、だからこそ、当初は自身のキャリアと掛け離れた本作は別名義で手掛ける事すら考えていたという。しかし、ここに来てまさかの新境地。また、本作を鑑賞するだけでも、矢口監督が怪談やオカルトの類が好きな事が十分伺える。本作のノベライズやコミカライズに、怪談作家の夜馬裕さんや怪談家としての一面も持つ凸ノ高秀先生が起用されている事からも(矢口監督からのオファーとは限らないが)、そうした文化に造詣が深いのかもしれない。
演出にツッコミ所(アヤの入っていたお札だらけの箱や、細かい所では、佳恵にチラシを追わせるなら即骨董市に飛ばさせて良かっただろう等)は多々あれど、それでも、何度でも戻ってくる人形の恐怖、アヤの正体や目的に捻りを効かせた脚本と、一級のエンターテインメントとして成立させているのは、キャリアの長い矢口監督だからこその技だろう。
前半は、謎の日本人形アヤが日常生活で徐々に邪悪な本性を出していく様が描かれ、後半はその正体と呪いを解く方法が描かれる。
予告編にもあったアヤをMRI検査に掛けるシーンで、アヤの内部に人骨が存在すると判明した瞬間のインパクトも良かった。ヨーロッパ圏の人形であるビスク・ドールには、滑らかな質感を出す為に動物の骨が用いられていたと聞いた事があるが、本作のアヤは人骨に素材を貼り付けて造られており、より生々しさ、悍ましさを感じさせる。
長澤まさみの“子供を失った母親役”が良く、特にセラピーで芽衣の死因を語る瞬間の動揺と後悔の渦巻く演技は迫真で拍手。
また、脇役で登場する安田顕や元キングオブコメディの今野浩喜も良い味を出している。アヤを巡って邪な思いで接する者が悲惨な末路を遂げるというのは、一種の御約束ではあるのだが、もしかするとアヤは人間の持つ邪念を操って自らの処分を回避させていたのかもしれないと思わせる。
【呪いの根底にあるのは、“愛されたいという気持ち”】
全ての親が子供を愛するとは限らない。同時に、全ての子供が親を愛するとは限らない。
アヤの正体を知った佳恵と忠彦は、呪禁師の神田(田中哲司)の協力を得て、アヤを故郷である新潟県の孤島に返そうとする。
しかし、私はアヤの本性である鬼の形相や『リング』の鑑賞経験等から、「故郷に帰す事が、本当に呪いを解く事に繋がるのか?」「もしかすると、アヤは生前母親を嫌っていたのではないか?」と疑う気持ちを抱いていた。
そして、案の定アヤは生前病弱だった事から母親に虐待を受けており、母親を憎んでいた。だから、アヤは真衣に「母親の交換」を提案していたのだ。
偶然にも、佳恵は人形にアヤと名付けた事で、彼女の生前の名である礼(礼と書いて“あや”と読む)と重なり、2人の間には繋がりが生まれたのだと思う。佳恵はアヤに芽衣の面影を重ね、それはそれは丁寧に、愛情を注いで扱った。虐待を受けて母親を憎んでいた礼にとって、佳恵から注がれる愛情はどれほど心地良かった事だろう。だから、アヤにとっては佳恵こそが理想の母親となり、彼女を手に入れる為に、故郷に返させて意識を完全に乗っ取るという罠を仕掛けた。
神田は「しまった!人形をあの島に返してはいけなかったんだ!」と、自分達の間違いを悔やむ台詞を発する。しかし、佳恵と忠彦の最大の間違いは、アヤを返した事ではなく、「子供は親を愛しているし、子供も親を愛しているはず」だという価値観を持っていた事だろう。勿論、それは親として大変素晴らしい真っ当な価値観なのだが、世の中には目を背けたくなるような邪悪な意思が渦巻いており、親子関係においてもそれは間違いなく存在するのだ。
一方からの見え方だけで行動してしまった以上、あの結末は避けられない運命だったのだ。何とも皮肉な話である。
【総評】
日本人形という古風なモチーフに、セラピーや虐待問題といった現代的なテーマを融合させ、そこに矢口監督の作家性である“万人ウケする”というコーティングがなされ、新しいJホラーの傑作が誕生した。
是非、今後も矢口監督には本作のようなホラー作品も手掛けてもらいたい。
久々の正当Jホラー作品
ドール・ミステリーではなく、人形ホラー
破傷風にはご用心
あそこからラストへの流れで冷めてしまったのだが、全体としては面白かった。ホラーな展開の端々で「人は見たいものだけを見る」的な風刺が物語のエッセンスとして上手く機能していた様に思います。
そう考えてみればそのエッセンスは最後まで効いているのでそこが一貫していたのこそが良かった気がしたりして。
ホラー演出(特に邦画)がめっぽう苦手な私でも楽しめたので、世間の評判よりは食いつきやすいかなぁなんて思ったりもしました。長澤まさみさんは所々の抜けた台詞回し(「むずかしーのー」が特にしびれた)がキュートだし、この手の映画に出てきた時の田中哲司さんの安定感(安心感)たるや笑
"人形"と言うよりも"念"の怖さだったのは少し残念だったかも。
怖すぎた
スオミvs礼
終始、恐怖から来る鳥肌が止まらなかったホラー映画。 本年度ベスト級。
思った以上に怖い作品だった(笑)
来るぞ来るぞと心の準備は出来ていたけど、その度に鳥肌が立った感じ。
子供を亡くし悲しみに暮れる日々を送っている長澤まさみサン演じる佳恵。
偶然(伏線あり)骨董屋で見つけた娘に似た人形を買った事から始まるホラーストーリー。
個人的には買った人形が全然可愛くない(笑)
そんな人形で佳恵に笑顔が戻るものの、新しい子供が生まれ今まで可愛がっていた人形を無下にする事で謎の出来事がはじまって行く感じ。
驚かすシーンは音や突然の映像と古典的。
だけど橋の上の監視カメラ。
子供見守りカメラの映像がなかなか恐ろしいくリアルな映像だった。
安田顕さん演じる刑事。
今野浩喜さん演じるお坊さん。
この2人のヤバいシーンも見所だったって感じ。
田中哲司さん演じる呪禁師の神田。
邪気を祓うシーンがめっちゃリアル!
だけど、痛恨な勘違いをした事が、いまだに信じられません( ´∀`)
チャッキー人形
どんな勘違いだよっ!
娘を亡くして立ち直れない女性が、骨董市でみつけて買った娘に似た日本人形を買って救われたが、次女が産まれて不穏な事態に陥っていく話。
5歳の娘を目を離して買い物に出かけている間に事故で亡くして始まり1年後…と始まっって行く。
ドールセラピーはわかるけれど、そのリアクションに対してこの医者大丈夫か?に始まって、次女が産まれた後の掌返しだったり、強烈な絵の話しがついでぐらいの感じだったりand more…色々と極端過ぎて笑けてしまうところが結構多く、やっぱりホラーとコメディは紙一重だなと実感したのは自分だけ?
異様に巨大化してて、でかっ!ってなったところもあったし。
終盤は、ホラー展開ラッシュではあるけれど、幻視と何でもありな後出しの繰り返しで、怖さよりもめんどくささを感じてしまった。
いや、これホラーじゃん!
インパクトのある予告と主演の長澤まさみさんに惹かれて、公開二日目に鑑賞してきました。概要は予告で承知していましたが、思った以上の展開に最後まで楽しませてもらいました。
ストーリーは、最愛の娘・芽衣を幼くして事故で亡くしてしまい、抜け殻のようになっていた鈴木佳恵は、骨董市で芽衣に似た人形を購入し、我が子のようにかわいがることでかつての自分を取り戻し、やがて新たな娘・真衣が生まれ、人形のことも忘れて看護師の夫・忠彦とともに穏やかな日々を送っていたが、しまわれていた人形を真衣が見つけて遊び始めると、次々と奇妙なことが起こり始めるというもの。
全体的には、ジャンプスケアの瞬間的な恐怖より、人形そのものにまつわる恐怖を強く感じるように描かれています。もともと人形はあまり好きではないのですが、これからは触ることもためらいそうです。
元来ホラーは苦手で、普段はあまり観ることはありません。しかし、予告でちょっとだけ興味をもち、紹介サイトでは”ミステリー”となっていたので、それならと思って鑑賞したのですが、いやこれ完全にオカルトホラーじゃん!ミステリーという言葉に見事にミスリードされましたよ!
でも、おかげで、常に事象の裏側に人為的なものがあるはずだと思って観ていたので、恐怖が若干軽減した気がします。また、人形の呪いと思わせておいて、実は何かの犯罪かもと疑わせ、やっぱり精神疾患のせいかもと錯覚させ、そこからさらにやっぱり…と、一貫してホラーテイストを維持したまま二転三転する展開に最後まで目が離せません。
というわけで、いい意味でいろいろと騙されましたよ!子役も含めて演者の表情がみんないいだもん! 結論、子どもはもちろん人形からも目を離してはいけません!結局なにも解決してないので、これ続編があるかもしれませんね。
主演は長澤まさみさんで、人形に翻弄される佳恵を好演しています。脇を固めるのは、瀬戸康史さん、田中哲司さん、安田顕さん、風吹ジュンさん、西田尚美さん、今野浩喜さんら。中でも、田中哲司さんの醸すそれっぽい雰囲気がよかったです。
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