「怖がらせるより、みせる映画だった。」ドールハウス kazzさんの映画レビュー(感想・評価)
怖がらせるより、みせる映画だった。
いわゆるオカルト映画。
今どきのホラーとしては刺激が少ないかもしれないが、劇映画の見せ方を熟知した映像的演出が上手いと感じた。
特に、家の間取りを利用した移動撮影やアングルなどのカメラワークと編集が見事だった。
長澤まさみは何を演じても上手い。
明るい母親、精神を病んだ母親、恐怖する女、決意する女。
夫の瀬戸康史は大きな病院の看護師で、人形の異変に気づいてCTスキャンにかけたりするのが面白い。…CTスキャンだと思った(MRIかも)のだが、画面に映し出されたのは断面ではなくレントゲンみたいな全身の透過画像だった…
住職役の今野浩喜はこれだけの役に?…と、思ったらオチがあった。
刑事役の安田顕も訳ありげに見えたが、意外な展開だった。
人形ホラーはアメリカでは数々作られていて、『アナベル 死霊館の人形』も『パペット・マスター』も『チャイルド・プレイ』も、後にシリーズ化されている人気テーマだ。近年では『M3GAN ミーガン』も同カテゴリーだといえる。これも続編が本国ほかで公開されたが、なぜか日本公開は中止が発表されている。
そんなテーマを今さら日本で作ってどうなのかと懐疑的だったのだが、それらとは一線を画していた。
幼い娘を死なせてしまった母親が自分を責めて鬱状態になる。その母親の娘への愛情がこのオカルト物語の戦いを誤った方向へ導くという切り口がユニークだった。
余談……………
“グーチョキパー”がフランス民謡だったとは知らなかった。(エンドロールにて)
確かに王道のホラー映画でしたね。過激な映像を極力控えた作品でした。最初から世界を意識して作成したようですね。余り過激な描写はNGの国もあるので。でもそれなりに恐さは演出できていたので秀作だと思います。新たなるJホラーの到来かも知れません。

