「意外な怖さ」ドールハウス ぺーさんの映画レビュー(感想・評価)
意外な怖さ
矢口監督は明るい作風のイメージでしたが、いい意味で予想を裏切る作品になっていました。
ゾクゾクくる怖さ。ホラー苦手な自分にはちょうどいい塩梅でした。
以下、強烈に印象に残った場面を挙げます。
・強烈な怨念を持っている礼。その想念は真衣にもどんどん影響を及ぼします。祖母の腕を噛んだか父・忠彦が確かめる時にカッと目を見開いた真衣がかなり怖かった笑
・礼ちゃんが関わる人によって構い方を変えるのが面白かったです。ゴミ収集員や煩悩僧侶は殺しかけるのに、なんで刑事には自ら車の車輪に挟まりに行くんかい爆笑
しかも「い…た…い」て。誰が見ても分かるわ!
次は、気になった点です。
・箱に貼ってあった「呪詛返し」ってつまりどういうことか?何に向けての呪いを礼に返したのか?サラッと流されてわかりませんでした。
・礼と母親の関係の真実について最終盤で明かされる
→なら人形として作った意味は?虐待を知っていたのか?作者と妻は不仲だった?それとも娘を不憫に思った?単に気が触れた?解釈しろ、ということでしょうか。
結局夫婦は礼との因縁を断ち切るどころか、逆に呪いに取り込まれてしまいます。でもそこまで不憫さは感じませんでした。そこで冒頭の芽依の死が効いてくるんですね。おやつの買い出しのためだけに母・佳恵が家の中を子どもだけにしたせいで、実の娘が洗濯機に閉じ込められてしまった。一応刃物やガス栓に気を配る描写はありますが、まだ想像力が足りんなと(独身ですが)。廻り廻って因果応報になる、という終わりになりましたね。家族を持つって難しい…。
礼はあの後、どうなるんでしょうか。あの夫婦を破滅させたら、また新たな親を探すのか…?どうやったら本人が怨念から解放されるのか…?
考える余地のあるホラーでした!