「今年の邦画は良作が多すぎる!!」ドールハウス 南野コミチさんの映画レビュー(感想・評価)
今年の邦画は良作が多すぎる!!
ホラー映画初心者です。
本作も矢口史靖作品でなければ絶対に見に行ってないタイプの人間です。『リング』も『呪怨』も未見。きちんと映画館で見たホラーは中山哲也の『来る』くらいです。
その代わり矢口史靖作品は大好きです。特にスウィングガールズとハッピーフライトは何度観たかわかりません。
ですので、事前に予告や試写会の評判などを聞いて、本作がホラー作だと聞いていても半ば信じられない気持ちでした。ハッピーフライトが『コメディ風乗り物パニック』だったので本作も『コメディ風ホラー』だと思いながらトーホーシネマズの門をくぐりました。
結果として、本作は『マジの』ホラー映画でした。しかも最上の出来でした。心が揺り動かされまくりました。
系譜としては「過去のトラウマ克服モノ」です。
子供を亡くした主人公がその心を回復させていく物語です。
数少ないホラー経験からすると、ホラー作品の中には「結局はどういう話だったの?」となることも少なくなかったのですが、本作に関しては呪いの正体や怪異の目的や行動原理などは非常にわかりやすいです。
またいわゆるジャンプスケアシーンも全くないわけではありませんが、ほとんどないと言ってもいいと思うのも好感が持てます。
その代わり、『嫌な予感』からの『ほら、だから言ったじゃん!』的な心の動かされ方をされるシーンの組み立て方で生あたたかな恐怖感で心が揺さぶられます。
主演の長澤まさみの演技もとても素晴らしいです。精神的に参ってしまう母親役が最高でした。特に「あ……やってしまった」という表情が凄すぎます。
今年のベスト(個人的には人生ベスト級)映画に『片思い世界』がありますが、本作はそれの裏返しのような話ではあります。
ラストではあの映画に感じたのと同じような『救われ』を感じます……が、本作は間違いなくホラー作品だったのだと、ラストのラストで気がつくことになります。
その瞬間の「やられた」感こそ初見でしか味わえない映画的感動だと思います。
本作は私のようなホラー初心者でも楽しめる大傑作でした。
正直、ウッジョブ以降の矢口史靖作品に関しては「う〜ん」と思う点が多々あったりしたので、本作で久しぶりに「やっぱ矢口史靖最高!!」となれたのは個人的に大変嬉しかったです!
全員におすすめできる名作です!!
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