「【”中学生の時の憧れの君との再会。そして・・。”今作は酸いも甘いも経験した50歳を超えた中年男女の大人の恋愛映画であり、名優堺雅人さんの泣き笑いの演技及び出演ベテラン俳優が全て良き逸品である。】」平場の月 NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【”中学生の時の憧れの君との再会。そして・・。”今作は酸いも甘いも経験した50歳を超えた中年男女の大人の恋愛映画であり、名優堺雅人さんの泣き笑いの演技及び出演ベテラン俳優が全て良き逸品である。】
■妻(吉瀬美智子)と別れた青砥(堺雅人)は、アパートで一人暮らし。近くの小さな印刷会社で働いている。彼は、胃カメラの検診を受けた時に受付に居た須藤(井川遥)と中学以来の再会をする。
二人は少し驚きながらも、青砥の”互助会みたいな感じで、時々呑まないか?”と言う須藤への提案に、彼女は素直に承知するのであった。
◆感想<Caution!内容に触れています。>
・序盤はコミカル要素を絡めて、物語は進む。何より妻と離婚した青砥と、夫と死別した須藤が戻って来たのは、中学の時に住んでいた土地で、そこには中学の同級生(安藤玉枝・宇野祥平・大森南朋・吉岡睦雄)等が、今でも住んでいるのだから。
そして、彼らは頻繁に会っては酒を呑み、江口(大森南朋)の娘の結婚式には皆で参列し、その後に又、呑んでいるのである。
ー 楽しそうだなあ・・。けれども、プライバシーは余りなさそうだなあ・・。ー
■彼らはお互いに気を使わないし、名字で相手を呼ぶ。青砥も須藤も相手を名字で呼ぶのである。時には青砥は須藤の事を”お前”とも呼ぶのである。須藤は少しムッとするが、それがお互いに心惹かれて行くうちに普通になっていくのである。
そして、物語は彼らの中学校時代と現在とが交互に描かれる。この物語進行もとても良いのである。
・須藤は、幼い時に母(松岡依都美)が5年家を出て戻って来るも、夫(黒田大輔)に激しく拒絶される姿を見ているからか、同級生男子に告白をされるも”興味が無いから。”とそれを受け入れない。心に鎧を纏っているようである。青砥も拒否されるが彼は須藤の頬に自分の頬をそっと触れさせるのである。少し須藤は驚くが嫌な顔はしないのである。
そして、このシーンは大人になった二人が、家呑みをするようになった須藤の部屋で結ばれるシーンにも、効果的に連動しているのである。
■今作では、上記したベテラン俳優以外に、青砥と須藤が良く行く焼き鳥屋のご主人を演じた大変な病気をされた塩見三省さんが、個人的には抜群の存在感で魅せてくれるのである。
白い髭を蓄え店の端の椅子に座り、ほぼ台詞無しであるが、彼の視線は店内の客の様子を見て店員に的確な指示を出すのである。
ラジオから薬師丸ひろ子さんの”メイン・テーマ”が流れた時にいつものカウンター席に座った青砥と須藤が”えーっと‥”と言っているとタイトルを教えてあげたりね。
そして、このシーンが再後半のシーンに効いてくるのである。
・須藤に大腸癌が見つかり、心配した青砥は体調が良い時に温泉旅行に行こうと誘う。彼女は”温泉かあ。”と言い承諾するが、一年後の12月20日にしようと言うのである。
このシーンで、冒頭の青砥の部屋に息子(倉悠貴)が尋ねてきた時に壁に掛けてあったカレンダーの12月20日の日の赤丸を問われるも曖昧な返事をする青砥の姿の意味が分かるのである。
だが、再検査の後に青砥が状況を聞くと、須藤はVサインを出すもVを徐々に寂しそうに曲げるのである。そして、彼女は突如別れようと青砥に言うのだが、青砥は”一年後に温泉旅行に行く約束をしたじゃないか。”と言い、須藤は一年間は会わないが、旅行することを了承するのである。
■だが、或る日、青砥は須藤が亡くなっている事を同級生から聞く。
彼は自転車を猛スピードで須藤のアパートに走らせると、そこには須藤の妹(中村ゆり)が部屋の片づけをしているのである。彼女は”姉から親戚以外には告げるなと言われて・・。青砥さんにはと思ったのですが・・。すいません。”と詫びるのである。
このシーン以降での堺雅人さんの泣き笑いの表情の変化の様は凄い。
青砥は同僚(柳俊太郎)の主任祝いの席で席を立ち、須藤といつも座っていたカウンター席に一人移る。
そこにラジオから流れて来た”メイン・テーマ”。
”笑っちゃう、涙の止め方も知らない。”と言う歌詞が流れる中、彼は初めて大粒の涙をカウンターに落とし、号泣するのである。
その姿を見た塩見三省さん演じる主人は、その声が回りに聞こえないようにボリュームをそっと上げるのである。
『このシーンで涙を流さない人はいるのだろうか』と思う程の、堺雅人さん演じる青砥が涙する姿は心に響くのである。
<今作は酸いも甘いも経験した50歳を超えた中年男女の大人の恋愛映画であり、名優堺雅人さんの泣き笑いの演技及び出演ベテラン俳優が全て良き逸品なのである。>
共感ありがとうございます!
自分のレビューにも書いた通り、むかし告って断られた子に再会して月一で会っているなんて超レアケースで、この映画の内容に近い生活をしているので、バッドエンドにならないように注意深く付き合っていこうと思います。
堺さんは宮崎出身ということもあり、注目している俳優です。本作のようなキャラクターを演じる堺さんは近年見ていないような気がして新鮮でした。
NOBUさんが宮崎の地を訪れてくださり、大変うれしく思います。またいつか宮崎キネマ館へご来訪くださいませ。そこでお会いできると最高です!
こんばんは~
本作良かったですね!!
先程YOUTUBEで「オトナ女子の座談会(平場の月を観ての感想)」磯山さやかさんが出てる動画観たんですが、20代、30代、40代の恋愛観の話と本作の感想聞いて号泣しました(笑)
女性目線ならではの感想が男とは違うな~だし磯山さんの感想がちょっとヤバくて泣きました。
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