キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン : インタビュー
スピルバーグ、ディカプリオ、ハンクス勢揃いインタビュー
――ハンクスさんも、ディカプリオさんも、ご自身の名声を生かして、よりチャレンジングな作品の映画化を実現させていますよね。
ディカプリオ:「意識的にやっているわけじゃないんだけれどね。脚本を読んだとき、このストーリーを伝えたい、って思うか思わないかが、出演するかどうかの判断基準。で、ぼくがぜひ伝えたいと思うストーリーっていうのは、いままで映画化されたことのないようなものだったりするわけで、自然とインディペンデント的な作品を選んでしまう、ってことはあると思う」
ハンクス:「実はぼくは最近こういう役をあまりオファーされないんだ。たぶん、タイプじゃないと思われているからだと思うんだけど。でも、ぼくとしてはどんな役でも挑戦してみたいし、観客もきっと受け入れてくれると信じている。エモーションがちゃんとあれば、観客はどんな映画でも受け入れてくれると思うんだ。キャラクターもプロットも、映画上の仕掛けも全部。いまはDVDやビデオのおかげで、どんな作品でも手に入る。この時代、観客が求めているのは、サプライズなんだ。観客を驚かし続けるのは、難しいことだけどね」
――お三方に今年度のベストムービーを選んでいただきたいのですが。
スピルバーグ:「わたしは発言を控えさせてもらうよ。いまは賞レースの真っ最中で、うかつにコメントすると、あとでいろいろまずいことになってしまう。立場的にいろいろあってね(笑)」
――なるほど(笑)
ディカプリオ:「ぼくは平気だから言わせてもらうけど、自分が参加させてもらった2本の映画(『ギャング・オブ・ニューヨーク』『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』)を無視すれば、『千と千尋の神隠し』がベストだと思う。ぼくがいままで見たどの世界とも違ったオリジナルな世界観で、2時間の上映中、ファンタジーのなかに完璧に浸ることができた。あの映画には日本的な要素が多分にあるんだろうけど、同時にそれだけじゃないものも見て取れて、別の惑星かなんかで作られた映画を観ているような気分だったよ」
――監督は「千と千尋の神隠し」をご覧になりましたか?
スピルバーグ:「もちろん大好きな作品だよ。実はレオからずっと勧められていて、2週間ほどまえに、家族と一緒に観たんだ。幼い連中は怖がったけれど、終わったとたんにもう1回観たいって言い出して。わたしが特に気に入ったキャラクターは、空腹のゴーストだ。お面をかぶった」
――あ、カオナシですね。
スピルバーグ:「そうそう。本当に素晴らしい作品で、映画の中盤になるころには、アニメーションを観ていることを忘れ、卓越したおとぎ話に入り込んでいた。素晴らしく、天才的な作品だと思う」
ハンクス:「そんなに素晴らしいんなら、ぜひぼくも観ることにするよ」
――では、ハンクスさんとディカプリオさんにお訊きします。一番好きなスピルバーグ作品はどれですか?
ハンクス:「そんな難しい質問はないよ。でも、いま選ぶなら『未知との遭遇』だね。つい最近DVDで観たから、ってのが理由なんだけど(笑)」
――(笑)
ハンクス:「あの映画は、ぜんぜん古びていなくて、はじめて観たときと、まったく同じ輝きを持っていた。それにはほんとうに驚いたよ。あの映画が公開されたのは、いつだったっけ?」
スピルバーグ:「77年だね」
――ディカプリオさんは?
ディカプリオ:「えっと、ぼくの場合、『シンドラーのリスト』がものすごい傑作だと認めないわけにはいかないんだけど、同時に、『ジョーズ』ファンの自分をどうしても抑えることが出来なくて。『ジョーズ』って最高だよね」
ハンクス:「それに、初期の作品をあげたほうが、無難だしね。映画通っぽいし(笑)」
ディカプリオ:「『シンドラーのリスト』も、もちろん大好きですよ(笑)」
ハンクス:「そりゃ、もちろん! スティーブンは、傑作を作りすぎてるんだよ。普通の監督だったら、せいぜいひとつなのに、スティーブンの場合9作ぐらいはあるからね」
スピルバーグ:「(苦笑)」