「まさかの号泣映画か・・・」かくかくしかじか mark108helloさんの映画レビュー(感想・評価)
まさかの号泣映画か・・・
この映画は原作者・東村アキコの思いのたけが詰まった映画だ。マシンガントークかと思わせるネームのマジシャンはこの作品の台本でまさに真骨頂を見せる。コマに収めるのではなく時間に乗せて流すとキッチリその妙味が現れて来る。本人役の永野芽郁がまた良くフィットしている。そのセリフと画面と配役と演出をコントロールしているのは監督・関和亮である。我々は実に良くコントロールされた計算ずくの作品を見せられているわけだが、これが全く嫌みがない。じわじわとエンディングに向かうに従いギャグ的要素はその俳優陣の名演ぎでペーソスへと変化する。我々は知らずにその渦に巻き込まれていくのである。この映画は基本モノローグ映画である。モノローグで語られるのはその恩師である。その無茶苦茶さ加減の一途さはいつの間にか主人公の・・・そしてその映画を見ている観客の主観に重ねられ、その強烈な個性の恩師のキャラクターに涙する。実に良く出来た映画だ。原作は読んだことがないので語れぬがもしかしたら原作を凌いでいるかもしれない。東村アキコの漫画の苦しさはこのように映画の中に流れる時間に流してやると実にフィットするのだ。原作者・東村アキコは誰よりもそれを知っているかのように今日も読んでて息苦しいネームの嵐で埋め尽くされたコマを絵で埋めていくのであろう。
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