劇場公開日 2025年5月16日

「恩師と呼べる人を持つことが出来たことの幸せ」かくかくしかじか たけちゃんさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0 恩師と呼べる人を持つことが出来たことの幸せ

2025年7月10日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

笑える

癒される

 永野芽郁は、「マイ・ブロークン・マリコ」を見てから俳優として見直しました。また、大泉洋は、そのしゃがれた声を聞くだけで癒されます。2人のキャスティングは本作によくはまっています。他方、原作者兼脚本家の東村アキコは、山田玲司のヤングサンデー(略称ヤンサン)でお見かけしていたものの、この人誰れ?と永らく思っていた漫画家です。その漫画もすべて未読でした。
 劇場で本作の予告編を何度も見せられて、ありきたりの感動作か?と思いつつ、気にはなっていました。劇場に足を運ぶ前に、スキャンダル報道のためか、いくつもの上映館が早々と上映終了になっていきました。
 その中で、劇場鑑賞の前に原作漫画を読み始めて、その面白さに惹かれて全5巻を一気に読了しました。これまでの自分自身の不明を恥じました。
 そして、ようやく本日、鑑賞可能エリア内の最後の一館に駆け込み鑑賞することが出来ました。
 正直な感想を言えば、映画作品として演出のチューニングが今ひとつです(細部や繋がりには気になるところが少なからずあります。その一方で、どなたが制作したのか不詳ですが、予告、特報、キャラクター予告、アニバーサリー映像、主題歌スペシャル映像の動画は、本作(本編)よりよほど良い仕上がりで、原作のエッセンスが詰め込まれています。)。最初から最後まで涙が止まりませんでしたというレビューを書きたかったのに、そういう風に本作(本編)は演出されていないのが、口惜しいです(原作とは明確に異なるシーンがあります。原作者が脚本を書いた(承認した)とはいえ、原作の展開(とりわけ見たかったシーン)が短絡(ショートカット)されているのも残念です。)。ただ、恩師から受けた恩に対する種々の不義理、自身が恩に報いたかを主人公が振り返るシーンについては涙が止まりませんでした。本作を見て、自分自身、今は亡き恩師に出会えた幸せを感謝せずにはいられない、気持ちになりました。
 漫画家や絵描きでなくても、高度な知的作業においては、連続的に決断・実行し続けることが求められます。日高先生の「描け、描け、描け」の叱咤(大泉洋の声が耳に残ります。)はいろんな意味で、とても大事な教えと思えます。本作は、自分自身の人生の道程を思い出させてくれる作品です。
 なお、「聞こえるメッセージ…」で始まる、本作の主題歌Messageは、かつてどこかで聞いたような、懐かしさを覚える曲です。本作にベスト・マッチングです。エンドロールにボーカルで流れますが、全編で静かに鳴らして欲しかったです(予告編にあるように…)。
 最後に、本作が逆境にある永野芽郁のエールにもなればと願っています。確かに、このまま消えてゆくのはとても惜しい俳優と思っています。

たけちゃん