「「描け」というシンプルな教えに、ものづくりの本質を見た」かくかくしかじか おけんさんの映画レビュー(感想・評価)
「描け」というシンプルな教えに、ものづくりの本質を見た
宮崎の片田舎で漫画家を目指す女子高生・明子が、スパルタ教師・日高との出会いをきっかけに、「描くこと」と本気で向き合う青春ストーリー。
ゴールはなんとなく見えているようで、直後の展開は意外と読めないところがあって面白かった。
永野芽郁の演技には、爽やかさと青春感がバチっとハマっていて、やはりさすがだった。
日高先生の昭和熱血教師感は、今の時代には逆に新鮮で、足りていないものだなと感じた。ただチンパンジーのくだりは、ちょっとヒヤッとした。笑
映像では、宮崎の広大な自然と東京のビル群のコントラストが印象的。登場人物の服装や空気感も含めて、環境の違いがうまく描かれていた。
テンポは全体的に早め。たぶん原作漫画を1本にまとめているからだと思うけど、重要なシーンにはちゃんと時間を割いてくれているので、テンポの早さがむしろ心地よかった。
日高先生の「描け、とにかく描け」というシンプルな教えに、ものづくりの本質を見た気がした。
上手くいかせようとすればするほど、「自分のビジョンは正しいのか」「自分は向いてないのではないか」みたいな不安に襲われて、手が止まってしまうことがある。
でも、どんな時でもただ「描く」ことに集中することで、自分を取り戻せる。ある種のマインドフルネスのようでもあった。
人生は限られている。一枚でも多く、1秒でも長く描く。
他者からの評価ではなく、「描いている時間」を楽しめる人こそ、アーティストとして幸せな人生を歩めるのかもしれない。
コメントする