「原作無視?」かくかくしかじか 九段等持さんの映画レビュー(感想・評価)
原作無視?
テレビドラマ等で原作の尊重が騒がれていた時期を含んで企画・製作されたであろう東村アキコの自伝的映画。
ご本人及び個人プロダクションが製作の中核に加わるなど、これ以上ない体制で作られており、原作無視など存在しない世界です。
だからでしょうか、方言のイントネーション含め宮崎の空気感が存分に詰め込まれており、この作品への意気込み、拘りが半端ない。
風景等で時代考証?的に気になる部分もなくはない(大淀川を渡る電車の世代や宮崎に帰る際の航空会社など)ですが、それは瑣末な話ですね。
映画としてこの作品の一番の魅力は、なんと言ってももどかしくも温かい人間関係の描写。
普通ならそこで縁が切れそうな展開や言葉の応酬があっても、次のシーンでは師弟関係が維持されているあたり、人間関係は良い意味でもままならないものだというリアリティを感じました。
これは絆とか縁とか言うよりも、それでも相手を思う意思みたいなものなのかもしれません。
中だるみもなく、ラストまでのペース配分も本当に良かったです。
映画を通し、宮崎という土地とそこに暮らす人達がいたからこそ、この絵画教室も東村アキコという漫画家も成り立ったのだなと思いました。
特に父・健一が健一すぎて…。説明なく常に甘いものを食べてるあたり、細かいなあと思いました。
昔、NHKが金沢制作で彼女が自身の半生を語るインタビュー番組を流していたのを見たことがありますが、これを見ると宮崎制作のほうが明らかに相応しい、見てみたかったなと改めて思った次第です。
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