「恩師への感謝とそれに報いる生き方を思い出させてくれる」かくかくしかじか prishouさんの映画レビュー(感想・評価)
恩師への感謝とそれに報いる生き方を思い出させてくれる
人は、いろいろな人に期待され、励まされながら、それを原動力にして成長する。けれども、日々の生活の中で、期待してくれた人、励ましてくれた人のことなど忘れている。気がつくと、ここまで自分を連れてきたのは、間違いなく、そんな人たちのおかげだというのに。
映画『かくかくしかじか』は、私たちにそのことを思い出させてくれる。
画家であれ、漫画家であれ、アーティストは、自分の力だとか、自分に課せられた「才能」だとかを、信じ続けることが必要なのだろう。それはきっと想像を超えるほどの孤独な闘いだ。
日高先生は、画家として生きるためには、そんな終わりのない、苦しい自分との闘いに打ち勝つような精神力が必要であることを実感しているからこそ、竹刀を振りかざしながら「描け!」「描け!」と叫ぶような教え方をしていたのだろうと納得する。
白いキャンパス(あるいは白い紙)という「無」から、私たちの心を揺さぶる「作品」を生み出す画家(あるいは漫画家)という人間は、本当にすごいな、とこの映画を観て、改めて思う。
そんな世界観を見事に演じている、永野芽郁さん、大泉洋さんが、素晴らしい。
演出やストーリーに一貫性があり心地よいのは、関監督の力量もさることながら、原作の東村アキコさんが、脚本から関わり、撮影現場にも常に同行して助言していたというのも大きかったのだろう。
さて、私はこれまで私を育ててくれた多くの恩師に報いる生き方ができているだろうか。恩師への感謝の気持ちを忘れず、悔いのないように生きねば、と思う。
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