劇場公開日 2025年5月16日

「裏切りと後悔の青春」かくかくしかじか Japanese_Idiotさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0裏切りと後悔の青春

2025年5月31日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

笑える

上映後のスクリーン出口で小学生連れ父子が「良かったね」「良かったな」と言葉を交わしていました。
私も同感です。

原作マンガは何年も前に読んでますが再読して映画を観ました。

漫画家東村アキコとアシスタントの会話と回想シーンから物語が始まります。このプロローグは原作とは異なりますが、完成度としては映画版が良です。製作・脚本には東村も協力しています。ロケハンにも同行したそうです。連載作ゆえに「この場面はもっとこうしておけば」という気持ちもあったろうと思われます。そんな東村の存念も活かし、原作のエッセンスを再構築することで高次元にまとまった作品だと感じました。

物語は高校3年生・林明子の視点で進みます。原作ではエピソードごとに若気の至りを諌め先生を慈しむ東村のモノローグが紡がれますが、映像では説教臭くなるので要所を除き省略されています。その代わり全体を通じて慈愛に満ちた丁寧な演出がなされていたと感じます。鑑賞者がこの作品に共感するのは、誰もが齢を重ねて気づく若さゆえの残酷さやみっともなさを恥じているからだと思います。東村は若き自身を叱ると同時に作品を通じた励ましのエールで我々を包んでくれていると感ずるのです。

クライマックス・シーンの演出はVFXですがすごく良かったですね。あれだけの量ですとマンガ的にも思えますが映像としても大変効果的でした(最後の一枚がペラっとめくれてシーン転換するところも)。エピローグも冒頭の伏線回収となっており収まりが良かったです。

Japanese_Idiot
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