劇場公開日 2025年5月16日

「先生の期待には応えられなかったが」かくかくしかじか kenshuchuさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0先生の期待には応えられなかったが

2025年5月22日
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鑑賞方法:映画館

漫画家として成功した東村アキコが、高校時代に美大に合格するために通った絵画教室の先生との物語。竹刀持って怒鳴り散らす指導法は時代を感じるもの。いや、あの時代でも結構時代遅れか。絵を本格的に描いたことなんてないけど、日高先生のとにかく描けという言葉はなんか響いてしまう。何回も繰り返すことは必ず自分のためになるってことだけは理解できる。
あきこと二人展をやりたがっていたり、いつでも描いてるか?と気にしているところを見ると、日高先生はあきこのことをかなり見込んでいたってことがわかる。でも、その期待に応えられない、応えようとしないあきこの気持ちもわかる。楽な方に行ってしまうところがとても人間っぽい。だからこそ気持ちに応えられなかったこと、気持ちを伝えられなかったことの後悔が残る経験って誰にでもあるんじゃないか。その切なさがとても共感できた。
東村アキコのギャグマンガが好きで、特に「ひまわりっ〜健一レジェンド」がお気に入りだ。ここに出てくる主人公の父・健一のエピソードが腹を抱えてくらいに笑える。その健一がこの映画で出てくることにテンションが上がってしまった。しかも、「ひまわりっ」の健一そのまんまじゃないか!これは嬉しいサプライズだった。本作を観ていると東村アキコという漫画家は、自分の周りで起こった出来事を物語にする力がとてもうまいのがわかる。「ひまわりっ」はコールセンター時代の経験を元にしているし、美大時代の彼氏は「ひまわりっ」の2代目健一のモデルであることがわかる。そんな楽しみ方もできる映画だった。

kenshuchu
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