「日高先生が残した作品」かくかくしかじか TSさんの映画レビュー(感想・評価)
日高先生が残した作品
原作未読。
原作者のこともよく知らないし、作品も1つも読んだことがない。
なんだか世間が騒がしいせいか、封切り後最初の土日だというのに、劇場は閑散としていたが(残念)、おかげで集中して観ることができた。
絵画教室に通うのは、「美大卒の漫画家」になるための美大受験対策という動機の主人公。それを知らない熱血先生。
主人公が筋がいいと認めるや、「描け、描け、描け」と指導に熱を入れるスパルタ先生。
鬱陶しさを感じながらも、教室に通い続ける主人公。えー、やめないんだ・・・なぜだろう。
美大を出て、画を描くことやめ、漫画を描き始めても、先生に本当のことを打ち明けられない主人公。
東京へ行く決心をしてから打ち明けたとき、彼女は、「先生を裏切りたくなかった」と言った・・・。
彼女と先生のお話はまだ続く。しかし、私はこの台詞に、彼女の先生への想いが凝縮されていたように思う。
絵の技量を高めてくれた先生。大変でも、しんどくても描き続けないといけないことを教えてくれた先生。先生の期待を裏切りたくない。でも、先生の期待には応えられない。それは自分に嘘をつくことになるから・・・。
成功した漫画家が、自分を世に出す土台をつくってくれた師匠へ贈る作品。教えるって何だ。教わるって何だ。ふと、タモリ氏の赤塚不二夫の葬儀での弔辞の言葉が頭によぎった。「私はあなたの作品のひとつだった」。
本当の教育っていうのは、やっぱり人をつくる、ってことなんだと思った。日高先生は、教え方は下手だったけど、大切なことを教え、人をつくった。つくられた人が、創ることで、描き続けることで、恩返しする・・・。
永野芽郁のナレーションはちょっとな感じはあったけど、キャラクターが主人公のお気楽だけどナイーブな性格に合っていたと思う。
大泉洋の電話の声が、いとこのみっちゃんの声まんま。お得意のカブ乗り。(水曜どうでしょうネタです)笑ってしまった。
あと、大森南朋の親父さんがイイですね漫画的。いつも煎餅とリモコン持ってる。リモコンは、チャンネル変えないなら置いときゃいいでしょうが!
爽やかな気分になれる良作。
色眼鏡無しで多くの人に観て欲しいと思う。
コメントありがとうございます。
厳しい先生ってのは居ていいと思いますね、みんな同じ教え方じゃ芸が無いですよね。日高先生は描けーとにかく描けーが方針なんでしょうから。
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