「スパイスでマイルドになりすぎたボーちゃん」映画クレヨンしんちゃん 超華麗!灼熱のカスカベダンサーズ saitofjさんの映画レビュー(感想・評価)
スパイスでマイルドになりすぎたボーちゃん
ストーリー展開は王道で大きな破綻はないものの、良くも悪くも全体的に表面的な印象を受けました。
インド映画の要素、「しんちゃん」とインド映画、カレーと福神漬けのような相性の良さを期待してましたが、両者の要素が噛み合わない!ダンスシーンも、単に「踊ればインド的」という表面的な表現に終始しています。インド映画のダンスは感情表現の重要な手段なわけでいくらでも使うタイミングあったろうと、、
クライマックスも、大規模会場に美少女大スターと完璧な役者が揃ったにもかかわらず、会場には犬ロボットで、決戦の場が河原に、、、、パニックパニックで力尽きた感?
次にボークン。ボークンは美少女スターと、友情と富豪の対比で成立しています。美少女スターは喋ることの出来ないボーちゃんの代わりに自分"らしさ"の語り部として登場しますが、最後まで語り部のまま終わってしまって惜しい。大舞台でブリキュアしないんかい!!
友情のテーマは、富豪のような相手の能力だけで関係を築くのとは対照的に、無条件なものであると描かれます。この無償の友情自体は尊いものと描かれています。
ですが、富豪の存在感が薄いため、その対比があまり機能してなく富豪抜きでも成立しているように感じられます。あれだけ仕込んだグータッチはスルーして説教炎上かいー!
そして、この友情の描き方は、崇高で作品のテーマの軸になってますが、逆にボーちゃんである必要性が薄くなっています。お前が変わっても友情は変わらない。が出来れば良いので、ボークンがボーちゃんである必要性が無いのです。
観客は「ボークンになっても実は優しい」といった、ボーちゃん"らしさ"の再確認を期待していたのではないでしょうか。友情の舞台装置であるボークンにボーちゃんとしての魅力が弱いのです。
"らしさ"の押し付けというテーマで、"らしさ"を期待する観客を裏切るというメタ構造的な試みは理解できますが、美味しい味付に失敗してるかと。どうせやるならファンと観客を重ねて痛烈にディスるぐらいやれば、、(やっても自己満感ありますがw)
臭い靴下を期待したのにスパイスでマイルドになってしまったというのがまさにこの映画のそれ
映画チケットがいつでも1,500円!
詳細は遷移先をご確認ください。