映画クレヨンしんちゃん 超華麗!灼熱のカスカベダンサーズのレビュー・感想・評価
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「クレヨンしんちゃん✖️インド」の化学反応は「混ぜるな危険」?
基本的には例年のような気楽に楽しめる作品に仕上がっている点で及第点です。ただ「映画クレヨンしんちゃん」の出来は、近年クオリティーの高い作品が多いので、あくまでその比較での評価です。
今回の「クレヨンしんちゃん」はインドが舞台ということで、典型的なインド映画のように歌と踊りが入るんだろうな、と想像していましたが、これが意外にも「混ぜるな危険」という化学反応だったようです。
まず、「歌と踊り」のシーンが残念ながら「クレヨンしんちゃん」に上手くハマっていませんでした。
「インド映画風」という建て付けでどうしても「歌と踊り」の方にも力を割かざるを得ないためか、結果的に本体の物語が、取って付けたような雑さが目に余る感じになっていました。つまり、慣れない要素で手間どり、上手く融合し切れず共倒れな印象を持ちました。
結果的には、いつも通り本体の物語に注力して、インド要素は「幻のカレー」等のモチーフで済ませた方がまとまりができたように感じます。今回の監督と脚本家は優秀なはずでしたが、題材の食い合わせが悪かったのかもしれません。
ハガシミール州ムシバイ
2年前の前作「・・・とべとべ手巻き寿司」が初の3Dでストーリーもさることながら目の部分等の漫画チック2Dと顔の膨らみ3Dが見事に調和していてアクションシーンもすごく面白かったものだから今回のインド映画へのオマージュもかなり期待して観に行ってしまった。ボーちゃんがインドで暴君になるめくるめくボリウッド華麗ミュージカル、というアイデアは良いのだが全くのだめだめ企画倒れで残念。ロケハンをきちんとしていないのかインド映画の肝を掴めておらず、物語の鍵となる骨董屋にインド的怪しさは皆無で、しんちゃんたちが途中下車してカレーを購入する町はまるで越谷レイクタウンにしか見えない。見せ場のダンスシーンも全くインドが感じられずむしろ春日部での予選会の方が盛り上がっていたくらいなのだ。唯一「ボーちゃんらしさ」って何?というメインテーマが秀逸で園長先生を「組長」と呼ぶしんのすけがやはり好きである。
まさか…君が最後の脅威だとはな…
小学生の妹と一緒に観に行きました
個人的には満足!!おもしろかったです
しんちゃん好きなら大人が観ても楽しめると思う!!!
インドに行ける理由がめちゃくちゃっていうのはそうかもしれないけどそんなこと言ったらメキシコもそうだし未来に行ったり夢の世界でなんやかんやしたりでキリがないのでそこは気にならない
出てきたメインキャラは全員活躍の場アリ!!(かな?)
クレしんの映画ならではのギャグにプラスして歌、踊りが組いることで楽しい作品になってました!!!
鼻に呪われたティッシュを詰めてしまったボーちゃんが暴君(ボーくん)になってしまったからそれをみんなで止めましょうって感じだけど
みんながボーちゃんを想う気持ちが滲み出てる
予想外なことに人が人に持ってるイメージを押し付けるのはどうなのかという人としてのあり方を考えさせられるシーンもあり
そしてレビュータイトルの通り…まさか君が最後の脅威だとは思ってもみなかったよ…
あとは暴君じゃない時のボーちゃんのテンションがいつもより高くてみんなとインドに行く、行けたことへの気持ちが観て取れてすごいかわいかった
アハン・ウフンさんもおもしろかったし
あとアリアーナもかわいい、アリアーナが踊るシーンはほぼなかったも同然だけど歌はあった!
顔もかわいかった
子供はやや飽きてました
なんせ、歌と踊りのせいで物語のテンポが悪い⋯残念ながらミュージカルテイストで作ろうとしても、クレヨンしんちゃんとの相性は悪いと思います。
子供たちもクレヨンしんちゃん映画に求めてるのは音楽ではないかと⋯
ただし、ギャグシーンは子供も大人も笑える内容で助かりました。そこは評価!
以下ネタバレです。
ボーちゃんがインドの骨董屋でたまたま手にした謎の紙を鼻に刺し、欲望のままに行動し、強大な力を持つようになります。最終的にしんちゃんとの友情を思い出して感動的なラストにはなっているのですが⋯
作中、ボーちゃんがずっと嫌な奴すぎて複雑な気持ちになりました。最初はカレー屋で暴れるぐらいのものでしたが、みさえ、ひろしを幽閉したり、かすかべ防衛隊に危害を加えたり、セリフも完全に悪役になったりと⋯
自我を失っただけとか、記憶喪失とか、ボーちゃんが敵に映らないぐらいバランスが良かった
ひろし・みさえは1回休め
このままでいい
春日部市とインドのムシバイが姉妹都市になったことを記念して、ムシバイでダンス大会が開催されることになった。そこで、春日部市代表としてしんちゃん一行が選出され、インドへ招待された。旅先でしんちゃんはある雑貨屋にあった不思議なリュックを購入する。そのリュックには2つの紙が入っており、それを鼻に詰めると強大な力を得て暴君になってしまうという代物であった。偶然その紙がボーちゃんの鼻に入ってしまい、ボーちゃんは暴君と化してしまう。しんちゃん一行は暴君と化した彼を救うことができるのか…。
しんちゃんの映画を久しぶりに鑑賞した。最後に観た記憶が曖昧だが、10年ぶりくらいだと思う。そんな状況で、本作を鑑賞した第一の感想としては、昔と変わっていなくて安心した、である。
オトナ帝国やアッパレ戦国など多く名作が存在する本シリーズ。残念ながら、それらと比較すると本作の完成度は低い。しかし、昔ながらのしんちゃんの良さはふんだんに盛り込まれていた。
例えば、友人を救うことを最後まで諦めないしんちゃんの友情、カスカベ防衛隊のボケとツッコミのバランスの良さ、裏切りに心揺れるおにぎりなど挙げればキリがない。
その中で、本作で突出すべきシーンは、ピンチの場面でイケメン作画になるヒロシである。これを挙げたのは、私がトップガンのファンであることに起因するが、トップガンをよく知らない人でもこのシーンには笑ってしまうだろう。ヒロシが運転したことのない飛行機を操縦するシーンなのだが、あの有名なテーマを意味不明な歌詞で歌いながらドヤ顔で飛び立つのである。そして、なぜかこのイケメンヒロシの操縦がかなりイケてるのである。トップガンマーヴェリックで崖を左右に避けるシーンがあるが、これがそのまま採用され、ヒロシはこれをリズムよくかわしてしまうのである。これには参ってしまった。これはウケるシーンでもあるが、こういう大人もバカになって、本気で敵に立ち向かうのが本シリーズの醍醐味だったなと昔の気持ちを思い出した。
本作の高評価が少ない理由としては、インド映画特有のダンス&歌唱シーンが多く、ストーリーに関係のないシーンが多い、ボーちゃんを救うのがメインテーマであるが、案外簡単に紙をとりだせてしまう、肝心のラスボスが意味不明なチャパティかよ、など様々あると思う。
しかし、これも引っくるめてクレヨンしんちゃんシリーズなのだと思う。姿勢を変えずにフルスイングしているから、大ハズレも大アタリもあるのである。
国民的アニメは毎年1本新作映画を上映しているが、コナンしかりドラえもんしかりそれぞれの色が出ていていいと思う。本作を観た人が、しんちゃんは迷走していると言うかもしれない。心配ない。クレヨンしんちゃんは最初から決まった一本道など進んでいない。私は、本シリーズには、この姿勢のままできるだけ長いこと走り続けてほしいのである。
抑えるところはしっかり
スパイスでマイルドになりすぎたボーちゃん
ストーリー展開は王道で大きな破綻はないものの、良くも悪くも全体的に表面的な印象を受けました。
インド映画の要素、「しんちゃん」とインド映画、カレーと福神漬けのような相性の良さを期待してましたが、両者の要素が噛み合わない!ダンスシーンも、単に「踊ればインド的」という表面的な表現に終始しています。インド映画のダンスは感情表現の重要な手段なわけでいくらでも使うタイミングあったろうと、、
クライマックスも、大規模会場に美少女大スターと完璧な役者が揃ったにもかかわらず、会場には犬ロボットで、決戦の場が河原に、、、、パニックパニックで力尽きた感?
次にボークン。ボークンは美少女スターの対比と、友情と富豪の対比で成立しています。美少女スターは、喋るとこの出来ないボーちゃんの代わりに自分"らしさ"の語り部として登場しますが、最後まで語り部のまま終わってしまって惜しい。大舞台でブリキュアしないんかい!!
友情のテーマは、富豪のような相手の能力だけで関係を築くのとは対照的に、無条件なものであると描かれます。この無償の友情自体は尊いものと描かれています。
ですが、富豪の存在感が薄いため、その対比があまり機能してなく富豪抜きでも成立しているように感じられます。あれだけ仕込んだグータッチはスルーして説教炎上かいー!
そして、この友情の描き方は、崇高で作品のテーマの軸になってますが、逆にボーちゃんである必要性が薄くなっています。お前が変わっても友情は変わらない。が出来れば良いので、ボークンがボーちゃんである必要性が無いのです。
観客は「ボークンになっても実は優しい」といった、ボーちゃん"らしさ"の再確認を期待していたのではないでしょうか。友情の舞台装置であるボークンにボーちゃんとしての魅力が弱いのです。
"らしさ"の押し付けというテーマで、"らしさ"を期待する観客を裏切るというメタ構造的な試みは理解できますが、美味しい味付に失敗してるかと。どうせやるならファンと観客を重ねて痛烈にディスるぐらいやれば、、(やっても自己満感ありますがw)
臭い靴下を期待したのにスパイスでマイルドになってしまったというのがまさにこの映画のそれ
踊る野原ジャ
2025年映画館鑑賞77作品目
8月23日(土)イオンシネマ新利府
ACチケット1000円
監督は『映画クレヨンしんちゃん バカうまっ!B級グルメサバイバル!!』『映画クレヨンしんちゃん オラの引越し物語 サボテン大襲撃』『映画クレヨンしんちゃん 襲来!!宇宙人シリリ』『映画クレヨンしんちゃん 新婚旅行ハリケーン 失われたひろし』『映画クレヨンしんちゃん もののけニンジャ珍風伝』の橋本昌和
脚本は『映画クレヨンしんちゃん バカうまっ!B級グルメサバイバル!!』『映画クレヨンしんちゃん オラの引越し物語 サボテン大襲撃』『映画クレヨンしんちゃん 爆盛!カンフーボーイズ 拉麺大乱』『映画クレヨンしんちゃん 新婚旅行ハリケーン 失われたひろし』『映画クレヨンしんちゃん もののけニンジャ珍風伝』のうえのきみこ
インド旅行にやって来た野原家とかすかべ防衛隊と園長先生
不思議な力を与えてくれるティッシュを鼻に詰めたボーちゃんはキャラが完全に変わってしまう
『海がきこえる』の監督と脚本家とその他スタッフが昔やったように綿密な現地視察が窺い知れる
なぜかインド映画にモロ影響受けている
なにを今更感がハンパないが実はそこそこ静かなブームがまた起きているのかもしれない
そんなわけでコメディータッチのミュージカル映画になっている
インドの人はあまりナンを食べないらしい
ナンは外食で家庭料理ではないから
日本の田舎にもある美味しいパン屋さんのカレーパンの方が美味しい
ナーンでか
それはねまあいいや
声の配役
ふたば幼稚園ひまわり組かすかべ防衛隊のメンバーで助けようとする父の手より鶏のもも焼きを選んだ野原しんのすけに小林由美子
しんのすけの母で熊本出身の野原みさえにならはしみき
しんのすけの父でスパイスの影響で靴下の悪臭が少しは和らいだ野原ひろしに森川智之
しんのすけの妹で赤ちゃんだが表情はとてもいい豊かな野原ひまわりにこおろぎさとみ
野原家の飼犬でわりと賢いシロに真柴摩利
ふたば幼稚園ひまわり組かすかべ防衛隊のメンバーでツッコミ役の風間トオルに真柴摩利
ふたば幼稚園ひまわり組かすかべ防衛隊のメンバーで趣味は「リアルなおままごと」の桜田ネネに林玉緒
ふたば幼稚園ひまわり組かすかべ防衛隊のメンバーで泣き虫で坊主頭の佐藤マサオに一龍斎貞友
ふたば幼稚園ひまわり組かすかべ防衛隊のメンバーでいつも鼻水を垂らしている無口でボーとしてしているノッポだが今回は饒舌で紙の力で動きが素早くなったボーちゃんに佐藤智恵
ヤクザっぽいふたば幼稚園の園長先生に森田順平
スゴイキューブを開発した大富豪のウルフ・ザ・パーフェクトに賀来賢人
インドのガイドのウフンアハーンに小峠英二
インドの雑貨屋のバイト君に西村瑞樹
インドのエンタメフェスタで人気者になったインドのタレントのアリアーナに瀬戸麻沙美
インド警察機密未解決事件特殊捜査班の刑事で相棒が行方不明になると途端に病気の老人のように元気がなくなってしまうカビール・カッチャパパル・パッカパパル・カッチャパパル・パッカパーパルに山寺宏一
インド警察機密未解決事件特殊捜査班の刑事でカビールの相棒のディルに速水奨
ウルフが開発した超高性能人工知能装置スゴイキューブに日髙のり子
インドの雑貨屋の店主のフラグタテルデーに宝亀克寿
ウルフが勝っている凶暴なイタチ科のラーテルに坂本千夏
アリアーナお気に入りのアニメキャラのキュアウコンに伊藤かな恵
笑って泣けて大人でも楽しめる作品
しんちゃんは好きでアニメもいつも観ていますが、映画は本当に小さい時に連れて行ってもらった以来でした。
大人でもクスッと笑えるところがあったり、個人的には風間くんがママー!って叫んだ後、トオルちゃ〜んってしんちゃんが空から降ってきたところが好きでした笑笑
周りからも笑い声が聞こえてきました笑笑
家族の愛やボーちゃんとしんちゃん達の絆にもほっこりして涙が止まりませんでした。
「らしい」とか「らしくない」って言葉にイライラしてしまう気持ちも分かるなあなんて考えさせられたりもして、大人でも楽しめるとても素敵な作品でした。
あ、あと「オラはにんきもの(インドバージョン)」が聴けたのも良かったです。
インドが舞台ながら、カレーらしく華麗な一作に至れなかった凡作
【イントロダクション】
映画『クレヨンしんちゃん』シリーズ第32作(3DCG作品含めれば33作)。インドを舞台に、しんのすけ達「カスカベ防衛隊」の面々が、呪物によって“暴君(ボーくん)”と化してしまったボーちゃんを取り戻す為に歌って踊って大冒険を繰り広げる。
監督は、『バカうまっ!B級グルメサバイバル‼︎』(2013)から映画シリーズに参加し、今回で6度目の参加となる橋本昌和。脚本に『謎メシ!花の天カス学園』(2021)等、映画シリーズ7度目の参加となるうえのきみこ。
【ストーリー】
インドの"ハガシミール州ムシバイ"が、春日部と姉妹都市になったことを記念して、「カスカベキッズエンタメフェスティバル」が開催されることになった。そのダンス大会で優勝すると、ムシバイに招待され、現地のステージで踊る事が出来るのだ。
しんのすけたち「カスカベ防衛隊」の5人は、練習を重ねて見事ダンス大会で優勝し、インドへ招待される。ひろしやみさえ、園長先生ら大人達の引率の下、しんのすけ達はインドへと出発する。
インド観光を満喫する中、しんのすけとボーちゃんは現地の骨董品店を訪れ、店の2階で鍵の掛けられた棚に仕舞われていた「鼻の形」に似た不思議なリュックサックを購入する。実は、このリュックサックの鼻の穴部分から出ているティッシュペーパーには邪悪な力が宿っており、それを鼻に刺した宿主の欲望を引き出して超人的なパワーを与えるものだった。
ティッシュを片方の鼻に刺してしまったボーちゃんは、普段の大人しく優しい性格から豹変し、“暴君(ボーくん)”となって暴走し出してしまった。ボーくんはもう片方のティッシュを鼻に刺して完全な力を得ようと、しんのすけの持つリュックサックを狙い始める。
現地警察の特殊捜査官カビール(山寺宏一)とディル(速水奨)は、歌って踊って自らの中に眠る力である“インドパワー”を覚醒させ、事態の解決に乗り出す。一方、「強き者」を相棒にしたい大富豪のウルフ(賀来賢人)は、圧倒的なパワーを手に入れたボーくんを相棒にしようと彼に協力する。やがて、昨年のフェスティバルで一躍大スターとなった美少女アリアーナ(瀬戸麻沙美)も巻き込んで、邪悪なティッシュを巡る大冒険が始まる。
【感想】
これはXでも同様の意見が見受けられたのだが、昨今の『クレヨンしんちゃん』や『ドラえもん』といった子供向け映画作品には、「子供達にとって教育上真っ当なメッセージ性を込めなければならない」というノルマでも存在するかの如く、製作側の考える“正しい主張”が盛り込まれている印象。しかし、本作をはじめ、そういった作品は「物語の中にメッセージが存在しているのではなく、メッセージの為に物語が存在している」という印象を強く受けるものばかりで、決して成功しているとは言えないのである。
両作品とも作者が存命だった時代は、あくまで「エンターテインメントの中にメッセージ性が隠されている」という塩梅だったように思う。漫画家・手塚治虫先生の言葉にあるように、「テーマ(メッセージ)はさり気なく」を心がけるべきはずなのだ。
クレヨンしんちゃんの原作者・臼井儀人先生が生前に映画の脚本製作に携わっていたわけではないが、歴代の監督や脚本家達はこの塩梅から逸脱する事なく描いてきたはずなのだ。
では、メッセージ性の為に物語が存在してしまうとどうなってしまうのか。その答えが分かりやすく展開されているという意味では、本作を鑑賞する意義は十分にあると言えるだろう。
結論として、しんのすけ達の冒険と、敵キャラやキーアイテムの存在それぞれに繋がりが薄く、あまり必要性が感じられなくなっていたのだ。
インドを舞台にしんのすけ達が歌って踊って大冒険する姿と、インド文化と全く関係のない由来不明の謎のティッシュは、完全に別要素として存在してしまっている。
これならば、インドらしくカレーを巡った冒険だって良かったはずだ。例えば、「邪悪な力を与える伝説のスパイスの入ったカレーを誤って口にしてしまったボーちゃんに邪悪なパワーが宿ってしまう。ボーちゃんを元に戻す為には、邪悪なスパイスの効果を打ち消す、別の伝説のスパイスを用いたカレーを食べさせる必要があり、その為にしんのすけ達はスパイス探しの旅に出る事になる。その過程で、歌って踊って大冒険を繰り広げる」といった内容の方が、余程インドという舞台を存分に活かせたはずだ。
また、明確な悪役を呪いのティッシュという物言わぬアイテムに委ねてしまっている為、ゲストキャラクター同士の関係性が薄くなり、それが物語の推進力を削ぐ要因となってしまっている。特に、特殊捜査官のカビール&ディルペアと、大富豪のウルフはラストまで会話すらロクにしない始末だ。
昨今の『クレヨンしんちゃん』や『ドラえもん』に共通するもう一つの要素として、「打倒されるべき明確な悪役を登場させない。そうした役割は、アイテムや怪物といった意思疎通の図れない存在に委ねる」というものもあると思う。だから、昔のクレしん映画ならば、「大富豪のウルフが自身の支配を完全なものとする為に邪悪なティッシュを求めて暗躍する中で、捜査官達はその野望を阻止すべく動いており、しんのすけ達は意図せずして巻き込まれる」というシンプルで魅力的な構図が成り立っていたはずなのだが、本作ではえらく回りくどくなってしまっているのだ。
更に酷いのは、ゲストキャラクターのアリアーナの扱いに関してだ。暴走するボーちゃんを見離さずに立ち向かうしんのすけ達の姿に疑問を投げかけたり、仲間として受け入れられるボーちゃんの姿に嫉妬心を抱く役割を押し付けられ、完全に製作側のメッセージを描く為の道具にされてしまっている。そして、ひろしやみさえは、そんなアリアーナの姿を「人間、そんな時もあるさ」と真っ当な意見で励ますのだ。実に回りくどく、面倒くさい構図だ。
余談だが、アリアーナにしんのすけがいつもの調子で「お姉さ〜ん❤︎」とならないのは、しんのすけのモットーとして「18歳未満(高校生未満)の女性に興味は抱かない」というものがあるが、本作で明らかに一際可愛らしく描かれているアリアーナにしんのすけが終始興味を抱かないのは、彼女の年齢がその範囲より下である、もしくは現代的観点からオミットされた(その割に、列車内では女性観光客に声を掛けている)結果であろうか。
そして、こうしたチグハグな物語構成もあってか、インド映画を意識した歌や踊りが、殆どストーリー展開に寄与していないという問題点も引き起こしている。
製作にあたって、製作陣がインド現地への取材やインド映画の予習をした事は勿論ではあろう(特にインドの背景美術のクオリティ)が、それでも「インド映画って、こんな感じだよね」という“何となくの雰囲気”で作られているなと感じざるを得なかった。子供向け作品なので、歌と踊りにフォーカスしていれば問題はないのだが、近年では日本でも『バーフバリ』シリーズや『RRR』のヒットを始め、様々なインド映画を鑑賞出来る機会に恵まれている為、近年のインド映画(その中でも言語地域によって更に細分化されるが)のクオリティが最早ハリウッド大作と遜色ないレベルにまで来ている事を実感している身としては、やはり「子供騙しだな」という印象はあった。
とはいえ、賞賛すべきポイントもいくつかある。その中でも本作最大の評価ポイントは、迷子になったしんのすけが街中で『オラはにんきもの』を歌いながら踊るシーンだろう。前任である矢島晶子さんから役を引き継いだ小林由美子さんによる往年のテーマソングの歌唱は、ファンとして嬉しく思った。
途中、ひろしが逃亡の為に皆を小型セスナに乗せて飛行する際、彼がインドパワーを引き出す為に歌うのが、『トップガン』シリーズのKenny Logginsによる『Danger Zone』なのにもクスリとさせられた。トム・クルーズの日本語吹き替え声優が、ひろしと同じく森川智之さんだからという“中の人”ネタであるのだが、下手すれば親御さんの中にも通じない人が居るのではないかというレベルのネタである。しかし、こうしたネタを仕込んでくるのは、かつてTVスペシャルで『スター・ウォーズ』を告訴ギリギリレベルでパロディしたりしていた、往年のクレしんらしさが感じられて良かった。
サビ以外の歌詞は何となくリズム感だけで覚えているというのもあるある。
実は、これらの評価ポイントは、ちゃんと歌と踊りに関係している部分であるので、やはり物語の構成やキャラクター設定に一本の筋が通ったものであれば、クレしんとインド映画的要素は、本来なら相性は良かったはずなのだ。
せめて、エンディングでしんのすけ達が主題歌となるオリジナル楽曲に合わせてアリアーナと共に皆で踊るといった演出でもあれば、もう少し満足感は増していたはずなのだが。
【総評】
昨今の子供向け映画における製作側の姿勢、それが上質なエンターテインメントを成立させる上での障害となる事を浮き彫りにした一作だったと言える。
監督と脚本が比較的優秀な人材を宛がわれていただけに、少なからず期待もしていたのだが、残念な結果になってしまったと言わざるを得ない。
それでも、本編終了後の来年の映画予告では、季節的にも相性バッチリな(恐らく公開はまた夏になるであろう)妖怪モチーフの映画となる様子で、これまでもファンタジー世界との高い親和性を発揮してきたクレしんならではのポテンシャルが存分に活かせそうな題材のチョイスには、正直ワクワクさせられた。
監督や脚本を誰が務めるにせよ、ここらで今一度本物のエンターテインメントを見せつけてもらいたい。
インド映画のテイスト取り入れた歌とダンスとアクションは最高!
クレしん映画にとって調子の悪い出来
天カスから毎年クレしん映画を見に行ってます。
過去作品もある程度履修済み。
なぜ、ボーちゃんはインドに固執するのか?
なぜ、雑貨店にリュックが置いてあったのか?
アリアーナは一体何者だったのか?
という謎が最後まで分からないまま映画が終わります。
子供向け映画に大人があれこれ言うのも無粋ですが、
今年の映画は出来が良くありません。
インド映画=ダンスという偏見のみで作られた映画なので
ダンスシーンが沢山出てくるのですが、ストーリーとダンスの繋がりが薄く
イマイチ盛り上がりませんでした。監督はインド映画くらい観ろ。
水辺にいるゾウを見かけて「ゾウさん…」としんちゃんが呟いた次の瞬間、
「オラは人気者」が急に流れてしんちゃんが踊ります。発作ですか?
終わりも雑で、発作が終わると急にカットが変わってアリアーナが映し出されます。
そこからしんちゃんとアリアーナが出会う…。みたいな流れですが、不自然すぎる。
例えば、「オラは人気者」には「パニック パニック 慌ててる」というような
歌詞が出てくるので、しんちゃんが市場でちょっとした騒動を起こし、全員がパニックになった流れで曲を流し、後半でアリアーナが遠巻きから登場、そのまま彼女メインのカットに
映ってストーリーが進む…みたいな流れの方がより自然かと思われます。
アリアーナも発作のように歌い出すので、見てて訳が分かりませんでした。
そして、クレしん特有の説教シーンも。手巻き寿司よりはくどくないですが
「またかよ」って感じ。何を訴えたいんだよ。
暴君になってしまったボーちゃんに対し「ボーちゃんらしくない!」としんちゃんたちが
言うと、「ボーちゃんの何がわかるの!」とアリアーナがブチギレ説教をかまします。
一応説教に至るまでの伏線があるのですが、いつも自然すぎて気づきません。
ラストシーンに、それまで温めておいた説教を年長者がかますのですがもう覚えてません。
浅すぎて。
それとギャグシーンですがセンスは枯渇するものなのでしょうか。
映画館に結構沢山観客がいたのですが、滑り倒していました。
ギャグが壊滅的、面白くなければ毒もない。ダンスも平凡で
ストーリーもギャグではないので、観客の反応はイマイチでした。
最後に、本作メインのボーちゃんについて。
単純なキャラ崩壊です。「インドに行ってダンスをする」という目標に対して
ボーちゃんらしからぬ固執を見せつけますが、その動機は最後まで明かされません。
「春日部防衛隊のみんなでインドに行ってダンスをしたい」的なことを明言しますが、
暴君になった後、温厚なボーちゃんが仲間を傷つけてまで達成したい目標には思えません。
しんちゃんとの出会いが回想シーンとして出ますが、今回のテーマにひとかすりもしません。意味不明。
結果、ボーちゃんはやなやつだし、インド映画エアプだし、説教くさい駄作でした。
金を払って見る価値はあると思います。見れない作品ではないです。
子供にとっては面白い作品になると思いますが、連れの大人は寝るでしょうね。
個人的に良かった点と惜しい点と残念な点
映画館で観ました。
個人的に良かった点
•テーマが考えさせられる
→現代でよく言われる「偏見」がテーマ。
紙を鼻に刺して変貌していくボーちゃんと、変化に戸惑うカスカベ防衛隊の4人。
ボーちゃん(ボーくん?)の「僕の何を知ってるの?」アリアーナの「ボーちゃんらしいって何?」
そして他の防衛隊メンバーたちの「ボーちゃんらしくない」「紙を鼻に刺してからおかしくなってる」
これらのセリフはこのテーマに沿っていて、テーマが終始ぶれていないのがよかった。
•ボーちゃんの謎な部分は最後まで謎のまま
→超特報映像が公開されてからたびたび「ボーちゃんの親登場説」や「ボーちゃんの本名判明説」が浮上していたが、結局最後まで登場しなかった。判明しなくて良かった!!!!
•物語が簡潔にまとめられている
→全体的にグダグダ感が無く、観やすかった。インドへ行くまでもスイスイ進んだ。
•露骨な御涙頂戴がない
→今回はどっちかというとギャグ振り。ちょくちょく笑えるギャグを挟んでいたため、楽しめた。
これは私が来た日の話なのでなんとも言えないけど、子供達もマナー守りながらクスクス笑ってたし、劇場内はいい雰囲気だった。
マサオくんは最後は未遂だったけどしっかり裏切りおにぎりになりかけていて、ボーちゃんから取れた紙2枚を自分のものにしようとしていた。個人的にマサオくんの裏切り未遂のシーンは1番笑った。
そして最後はなんとウフンアハーン(CVバイキング小峠)がちゃんと喋る。
•ボーちゃんが可愛い
→本当に可愛い。マジで可愛い。最高に可愛い。
個人的に惜しい点
•覚醒マサオくんの描写
→しんのすけ達は、ボーくんの鼻息によって吹き飛ばされてバラバラになる。そこでマサオくんはシロと共に行動することになるが、その中で野良犬に襲われたところをシロに助けられて、「シロパイセンに一生ついていきます泣」とシロを崇拝するところで一旦カットされる。そこからしばらく彼らは登場せず、次登場するのはエンタメフェスティバルの会場で、カスカベ防衛隊の5人(ボーちゃんは敵としてだが)が合流するシーン。
その時点で既に覚醒しており、シロと共闘する。
つまりオトナ帝国でいう「ぶっ飛ばすぜベイベー!」みたいな覚醒の瞬間がない。
そして今回は比較的覚醒している感が無く、さらに覚醒する期間が短い。もっと観たかったよ!!!
•一つ気になった矛盾
→序盤に風間くんがエンタメフェスティバルの映像に出ているアリアーナを他の4人に紹介するが、しんのすけと行動しているアリアーナを見た時に「この子誰?」としんのすけに聞くシーンがある。
個人的に残念な点
•最後のvs暴走チャパティのシーン
→本当にいらない。これをやるなら別のシーンをもっと掘り下げて描いてほしかった。
•暴走チャパティから紙を抜く時の5人のポジション
→チャパティから紙を抜く時のポジション。大人たちが食い止めている間にカスカベ防衛隊の5人(ボーちゃんは正気に戻っている)がチャパティの鼻?に突き刺さっている2枚の紙を抜こうとする。そのときに5人で横一列に手を繋いで、両サイドの二人が1枚ずつ紙をつかみ、残りの3人は吊り橋のようにぶら下がるようなポジションだった。その時のポジションが左から
風間くん しんのすけ マサオくん ボーちゃん ネネちゃん 。
つまりチャパティから紙を抜くのが風間くんとネネちゃんだった。
折角ボーちゃんがキーキャラなら、しんのすけとボーちゃんがこのポジションについて欲しかった。
•ゲストキャラと園長先生の扱い
→刑事2人は割と活躍していたが、ヒロインポジションのアリアーナは「自分らしいって何?」という問題提起意外特に目立った活躍はない。
ヴィランポジションとされているウルフはほぼ空気。「一人ぼっちだから相棒が欲しい」という設定はすごく良かったし、勿体無いと思った。この設定のキャラをヴィランとして映画を作るなら彼がメインヴィランの映画を別で作った方が良かった。
フラグタテルデーとバイトくんは全然出ないし、フラグタテルデーはそんなにフラグ立てない。
園長先生とウフンアハーンはしんのすけ一行がバラバラになるシーン以来、最後のvs暴走チャパティのシーンまで全く出ない。
•ボーちゃんの真の姿=ボーくん…?
→ボーちゃんをボーくんにした「紙」。これは鼻に紙を刺した者を「操る」のではなく、「鼻に紙を刺した者の欲望を叶える力を与える」という物だった。
その上でボーくんの歌の歌詞の中には「全てを我が思いのままに」的な歌詞がある。
つまり「世界を支配すること」がボーちゃんの本望なのか…?と、思ってしまった。
完全な個人の感想だが、
「紙には邪悪な化身が宿っていて、その紙を鼻に刺してしまったボーちゃんが化身に体を乗っ取られて凶行に走る」というエピソードにして欲しかった…
ざっと思いついたのはこのくらいです。
観る人によりますが、個人的には観るに耐えない映画ではなかったです。
面白くはないです
中盤話がダレきってる所に歌パートの連発は白けすぎてやばかったです
序盤と終盤は結構盛り上がったのでしんちゃん映画の中では最低ではないでしょう
ただオチももう一捻り欲しかったし、ダンス大会にはやっぱり出てフィナーレが綺麗だったんじゃないかな
ゲストの女の子も脚本家の代弁者みたいで寒かったです
そこそこ面白い
子供にせがまれ、初めてクレしんの映画を観ました。映画シリーズは大人も楽しいとか泣けるとか噂は聞いてたけど、どんな無理やり設定もまぁあのクレしんだから!で乗り切れる。個人的にはもう少しインド人キャラにインドぽさが欲しかった。ミュージカルシーンは良かったな、特にオラはにんきものは懐かしくて。
強さを手に入れ欲望を悪い方に実現していくボーちゃん…という姿には、あまりのヒールっぷりに少し引いた。一体ボーちゃんの欲望って。。。誰でも無限の欲望叶え出したらああなっちゃうのかなぁ。みさえとひろしは、何の力も得てないのに異次元パワー発揮してて好き(笑)。笑えるシーンがたくさんで、子供も大人も声出して笑ってた。あと、今回はプロ声優ばっかなのかな?と思ってたら、芸人や俳優さんが多く出られてるではないですか!本当に違和感なく観られました。
冒頭が映画全体のフリになってる!
映画全体はテンポ良くて、ボーちゃんを中心に「暴君・欲望・相棒」って3つの“ボー”がかかってるのも面白かった!冒頭でしんちゃんたちが衣装着て怪物と戦うシーンが、ちゃんと全体のフリになってるのも良かった。
インドに到着してからのボーちゃんが街中を走り回ったり、お店で遊んだりしてて、「あれ?いつものボーちゃんと違う?」って思った人も多いかも。
でも実際は、インドでダンスを披露するのが楽しみで、ちょっとはしゃいじゃっただけ。しんちゃんと同じ普通の5歳児なんだよね。
普段見せない一面を出すだけで「なんか違う」って思われちゃうのって、日常でもあることだな~ってちょっとハッとした。ヒロインのセリフでもわかるように説明されてたね。
園長先生が中盤に出なかったり、最後にインドのフェスで練習してきたダンスを改めてやらなかったりするのは個人的に、欲しかった部分かも。でも、「あぁ、この脚本家さんらしいな」って感じ。それも含めて新しいしんちゃん映画の流れになればいいなって思った。
小ネタもフリもいっぱいで、とにかく楽しめた!
自分らしさはどう決まるのか考えさせられる
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