「家族を描く作家性」28年後... nisiさんの映画レビュー(感想・評価)
家族を描く作家性
ゾンビはもはや映画の中心ではない。
ゾンビはもはや恐怖でもなければエンタメでもない。
ゾンビは事象であり風景ですらある。
いまやゾンビは物語を動かすキッカケでしかない。
この映画はそれを踏まえて
人類の終末と12歳の心象風景を描いている。
少年の成長物語。
ダニーボイル監督の作家性は
家族や共同体の崩壊を描くこと。
前作の「28週後」にはそれが色濃く出ている。
ゾンビ映画に新たな進化を求めることはほどほどにして
素直に映画を観てみればかなり良質な要素にたくさん気がつく。
ゾンビ映画はしょせんB級と言ってる人は
50年前に「漫画はしょせん漫画」と言っていた人と同じ。
本質に目を向けていない。
以下 ネタバレ
良質な要素1
狩に出るのは本来15歳なのに主人公は早熟で純粋。
だから父の浮気は許せないし母を外へ連れてく無茶をする。
15歳なら父の気持ちもわかるかも、母の状況も理解できるかも、、
良質な要素2
母がスローターを撃退。
だから病気が分かってからの決断が早い強さ。
良質な要素3
ラストのイかれた集団。
あんなのしかあの世界で生き残れる訳がない。
お父さんも近いものがあった。
良質な要素4
地獄も黙示録ばりのイメージなのにヨードを被っていたとは。
憎い説得性。
良質な要素5
ゾンビもチョメチョして家族を作る。
感染してない子は噛んで感染させるんでしょう。
という感じで実に良く脚本が練られていて唸ります。
前作は監督違いますよー。
あと良質な要素として挙げられていた事柄が悉く?でした。ヨード塗って説得力は流石に謎かと。仰られてたダニー・ボイルの作家性は「ゾンビ映画」のカタルシスに則った上で発揮されるべきだったのでは?と思います。あと「B級映画」ってこのジャンルに於いては蔑んでいるのでは無く、「褒め言葉」です。今回低い評価をされている方の大体がこのジャンルを愛しているが故の感想だったのではないでしょうか。
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