「やまとは無敵の「スーパーヒーロー」。」沈黙の艦隊 北極海大海戦 ガバチョさんの映画レビュー(感想・評価)
やまとは無敵の「スーパーヒーロー」。
2023年の前作では、海江田艦長が米原潜シーバットを盗んでやまと宣言する所で終わっていた。海江田の意図が分からずもやもやしていたが、今作ではやまとの目的もはっきりし、日本を始め世界を揺るがす事態が分かりやすく描かれていた。やまと対米海軍の迫力ある戦闘シーンと、やまとをめぐる日本国内の政治のドタバタ劇も楽しめる作りになっている。
人類誕生以来、他人の物を横取りしようとして武力による制圧=戦争が生まれた。世界平和のためには、政治と軍事を分離して超国家軍を作るというやまとの理想はとても共感できる。理想は認めるが、現実はそう簡単にはいかないから、日本はやまとに協力するか否かで国を二分する大騒動になってしまった。やまとの行動を、現実を無視した身勝手な理想論と片づけるか、可能性を信じて理想に向かって努力するべきか、簡単に結論は出ないから面白い。
やまと対米原潜2隻の対戦は圧巻である。音だけを頼りに行う魚雷戦のリアルさは、見る者を一瞬で海中に連れて行ってしまう。米軍の2隻の連携戦術をかわすやまとの対応には興奮させられる。そしてVFXの映像が美しく迫力がある。魚雷の動きを捉えた接写や北極の氷塊の下の表現は、とてもレベルの高い技術を感じさせる。ヒューマンドラマ的には、海江田の思い対米兄弟の思いの対決という面が描かれていてとても良かったと思う。
やまとが目指す「世界平和」に世界がどう対応していくかというドラマだと思う。映画で描かれたように、日本が真剣に安全保障のあり方を議論するのは良い事だが、やまととの関りがあまり腑に落ちなかった所はある。そのため政治パートはそれほど心に響かなかった。
やまとの無敵ぶりばかりが印象に残った作品である。これからやまとはスーパーヒーローを続けるのか、それともダークヒーローになっていくのか興味ある所である。
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