劇場公開日 2025年9月26日

「2020年代の軍事と平和を考えさせられる」沈黙の艦隊 北極海大海戦 PJLBNさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0 2020年代の軍事と平和を考えさせられる

2025年10月8日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

興奮

驚く

ドキドキ

かわぐちかいじ氏が「沈黙の艦隊」をモーニングに連載時の90年代には、単なる空想物の政治軍事物語だと思っていたが、この時代に映像化されるにあたって、ある意味今の世の中を考えさせらるきっかけになった。
多くの人が荒唐無稽に感じているこの物語の設定、たとえば政治と軍事の分離と、軍事力をもとにした平和の考え方は、このような空想物でしか成り立たないはず。だが、今の時代のロシア、ヨーロッパ、中国、アメリカなどの複数の国家が緊張感をもって対峙する状況がリアルであればあるほど、「やまと」や自衛隊のような軍事と政治の複雑さを反映した戦闘シーンは、ありえなくはないように見えてくる。それは90年代よりもより確実に2020年代が「危機」に面しているという実感のせいかもしれない。
その意味では、米国の論理をごり押しするベネット大統領はわかりやすいが、やまとに振り回される日本政府の面々のほうが、より今の時代を反映しているように見えてくる。その意味では強い政治家よりは人間的な政治家のキャストが魅力的に見えた。
映画としてはやまとの戦闘シーンがもちろん秀逸だが、大沢たかおが演じる海江田艦長は、軍人を超えて、政治家、哲学者、宗教指導者にさえ見える。だがこの映画を見る際は、海江田を理解をするよりは、振り回される方が良いのだろう。そうやって揺さぶられることに意義があるのだから。

PJLBN
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