「ツダケンの“声”が思想に実態を与える」沈黙の艦隊 北極海大海戦 てんぞーさんの映画レビュー(感想・評価)
ツダケンの“声”が思想に実態を与える
ツダケン激萌え映画。
ずっと調子の良いツダケンが可愛い。いつも飄々として自信満々の笑顔で、ふらりと現れては弁当をせびる姿がたまらなく好き。北極海での海戦が確実になったと知るや否や、北極海まで飛んで行ってヘリコプターから叫んでうるさいと言われたり、とにかく行動力の塊。ちゃんとお弁当を持って帰る姿もお茶目。
大滝(ツダケン)が提唱する「平和が利益を生む構造」としての〝やまと保険 〟は理想と現実をつなぐ橋渡しとなる思想的キーワードのひとつ。この構想を観客にどう信じ込ませるかは重要なポイント。
大滝というキャラに対してじっくりページ数を重ねた原作と違い、限られた時間の中で群像劇のバランスを保ちつつキャラを立てた実写版の采配は中々テクニカル。
大滝は、いつも飄々として自信満々。
現れる時も去る時もにこやかだが、切り札は迂闊に見せない慎重な男。
不意に有権者から激励を受けた時に見せた、言葉を詰まらせる表情は、このキャラの素顔に最も近い瞬間だと思う。
そして迎えた公開討論の中で「軍備の永久撤廃は私の夢」と語り、そのための「具体案ならある」と断言する大滝。満を持して示される“やまと保険の構想。ここで観客を説き伏せる一番の説得力は何よりもその〝声〟。他の役者とは明らかに質の違う声の響きが、やまと保険の実在感を高める。津田健次郎がキャスティングされた必然がこのシーンには詰め込まれている。
戦闘パートは安定して面白い。
2対1の北極海水中戦、艦隊vs潜水艦という前代未聞の海戦、その2つを過不足なく描き
きっていて満足度は高い。サブタイの北極海大海戦が中盤過ぎで終わったのは結構ビックリしたけど。米艦隊を短信で撃沈していく後半パートはうれしいオマケだった。
ただ、米潜水艦の艦長兄弟の描写は少し取ってつけた感があるので、バッサリ切るか、もっと掘り下げるか、どちらかに振り切ったほうが良かった気がする。
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