「リヴァイアサンは、ヒトの福音に成り得るか」沈黙の艦隊 北極海大海戦 機動戦士・チャングムさんの映画レビュー(感想・評価)
リヴァイアサンは、ヒトの福音に成り得るか
このお話、アメリカのヒトが観たら、どう思うんですかね。
…一年は、海の上で暴れてみせる。しかし、一年過ぎたら、戦場は机の上だ…。
かつて山本五十六は、真珠湾の奇襲後、日本が有利なうちに、速やかな講和会議を望んでいたそうです。しかしアメリカに、その気は微塵もなく、完膚なきまでに報復します。
アメリカは、攻撃する者に容赦しません。戦勝国だからです。ベトナムで何があろうと、イラクで何をしようと、アフガニスタンで何をやらかそうと、変わりません。最近では、ベネズエラが要注意です。戦勝国が、他者から何かを学ぶことを期待できないのは、ニュースを見ていれば、想像つきます。
では、私達はどうなんだろう?。全てのクニが核武装したら、戦争はなくなる?。敗戦国として、卑屈になることが正しいとは思いません。しかし、このクニを大切に思うのなら、それと同じだけ、よそのクニにも、敬意を持ってほしい。それがなければ、国士のふりをしたテロリストになってしまいます。
海江田さんは、どっちのヒトだと思います?。
以上、東京湾海戦(テレビ版)で予習した、私の前フリでした。
さて、本編ですが、劇中のあの選挙、皆様は誰に投票します?。誰に未来を託します?。
ま、そういう御託は抜きにして、この映画、原作にはないエピソードがありますね。今の御時世、それ自体が凄いと思います。原作から逸脱するのは、かなりのリスクになる時代です。ここまで話を盛ったことに、映画人の矜持を見た気がします。その上で、私が気になったこと。
…今を生きる私達は、未来を託して散って逝った先人に、責任を持った生き方をしているのか?。
今の私達には、未来に向けて、アクティブ・ソナーを放つ資格が、あるのか?。
この問いに、正確に応えることは可能でしょうか?。
世界は、何を求めている?。
アメリカは、何を求めている?。
ロシアは?。
中国は?。
そして、私達は?。
原作のラストは、いわゆる軍政共同体への、強い反感を匂わせるものでした。原作通りに話が進むと、この先は、ね…。
そもそも、世界は、平和を望んでいるのか?。
戦争のない世界自体、きれいごとなのか?。
きれいな理想を持つことは、愚行なのか?。
私は、この映画を批判しません。アクションシーンの非リアルさに、いちいちツッコミしていたら、終わりません。(魚雷や爆雷が、あの至近距離で爆裂したら、その鋭利な破片は、どこに向かうと思います?。)アクションエンタメとして、完成度は高い映画だと思います。続編をリリースするのか知りませんけど、ここまで盛り上げた以上、映画人の今後の決断に、期待してしまいます。しかも、プロデューサーに、大将軍、大沢たかおの名が、連ねてあったような。さらに、期待が高まります。ただ、原作は、あのラストだから…ね。どうなるのかなぁ。
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