劇場公開日 2025年9月26日

「世界を揺さぶるやまと」沈黙の艦隊 北極海大海戦 おじゃるさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0 世界を揺さぶるやまと

2025年9月28日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

興奮

知的

驚く

■ 作品情報
監督は吉野耕平。原作はかわぐちかいじの「沈黙の艦隊」。脚本は髙井光。主要キャストは大沢たかお、上戸彩、津田健次郎、中村蒼、松岡広大、前原滉、渡邊圭祐、風吹ジュン、笹野高史、江口洋介など。

■ ストーリー
原子力潜水艦「やまと」を奪い、独立国「やまと」の建国を世界に宣言した海江田四郎は、東京湾海戦で米第7艦隊を圧倒し、国連総会出席のためニューヨークへ針路をとっていた。しかし、アメリカとロシアの国境線であるベーリング海峡に差し掛かった時、ベネット大統領が送り込んだアメリカの最新鋭原潜が追撃を開始。流氷が浮かぶ極寒の北極海で、〈やまと〉にとって最大の難局となる激しい潜水艦バトルが繰り広げられる。時を同じくして日本では、〈やまと〉支持を表明する竹上首相を中心に衆議院解散総選挙が実施され、国内政治もまた大きな渦に巻き込まれていく。海江田は、北極海での死線を乗り越え、世界の運命を揺るがすことができるのか。

■ 感想
前作、配信ドラマと追いかけてきて、期待を高めて臨んだ本作。その期待にしっかりと応えてくれる、すばらしい作品に仕上がっています。冒頭で前作までの経緯がさらりと提示され、物語はすぐに「やまと」の戦いと国内の政治劇という二つの軸で展開していきます。どちらの戦いも実に濃密で、片時も目が離せません。

特に印象深いのは、海江田四郎が魅せる潜水艦戦です。北極海での魚雷戦、そしてニューヨーク沖での静かな心理戦と、彼は戦力、地形、そして状況を正確に読み切り、常に冷静沈着な判断を下します。その巧みな操艦は、まさに芸術の域に達していると言えるでしょう。海江田の姿は恐ろしいほどに研ぎ澄まされ、同時に底知れないかっこよさを感じさせます。彼の決断一つ一つが、日本だけでなくアメリカ、そして世界の国々を動かす大きなうねりとなっていく様子には、深く心を揺さぶられます。

静かなる潜水艦バトルが、これほどまでに緻密で、ここまでの緊迫感を生むという驚きは、前作ですでに感じています。しかし、本作はそれ以上です。アメリカの2隻の原子力潜水艦の見事なコンビネーションとその裏にある兄弟の絆、米軍艦隊相手に1発の魚雷も撃たないやまとが促した大統領の翻意など、戦いの裏にある人物の心情がしっかりと描かれ、奥行きを与えています。

それにしても、やまとは世界をどのように変えていくのでしょうか。観終わった後、その余韻に浸りながらも、続きが気になってしかたがありません。単なるアクション映画にとどまらず、平和について深く考えさせる重いテーマを感じさせる作品です。

おじゃる
おつろくさんのコメント
2025年10月3日

共感ありがとうございます!

潜水艦は「海の忍者」なので、動きのある表現が本当に難しいと思うのですが、オーバーなところを差し引いても迫力満点の作品になりましたね。横須賀で海上自衛隊のイベントがあるといつも見学に行くのですが、潜水艦だけは極秘中の極秘で、甲板に乗ってペタペタ触ることはできるのですがそれだけで、海自に引き渡された時の艦名も艦番号も塗りつぶされているので、乗組員も間違えるんじゃないかと思うほどです。

おつろく