「観てよかった」シンシン SING SING 山川夏子さんの映画レビュー(感想・評価)
観てよかった
好き嫌いが分かれる作品かもしれません。
「観てよかった。この映画に出会えてよかった」と思える作品でした。
スニークプレビューで、家人が見せてくれた作品だったのですが、「実話」だというし、
アメリカの重刑専門の刑務所の更生プログラムの<舞台演劇>のグループの人たち本人が本人役として、演劇グループのメンバーとして出演していて、びっくり!
主役の冤罪で刑務所に入れられてしまった黒人ディビアンGを演じたドミンゴさんは、ベテラン俳優さんで味の演技をされており、それは彼のキャリアからすれば当然なんです。が、後に相棒になる黒人服役囚ディビアンIを演じたクラレンス・マクリンさん、(なんて凄みのある、哀愁のある演技をする俳優さんだろう)と感嘆していたのですが、HIPHOPのキングのように存在感もあり、韻をふくんで唄うようにワードが出てくるアーチスティックな俳優さんで、(ハリウッドはすごい役者さんが次から次へと出てくるなあ)と思ったら、その方もこの刑務所の<舞台演劇>のグループの人(本人)だというので、本当にびっくり!!
後で公式HPを観たら、刑務所の<舞台芸術>グループメンバーとして出演していた役者さんのほとんどが<本人>だったんです。すごい!! 演技プロ! 最高にイカした人たち!
演劇は「他人の人生を演じる」ことで、人生というものや、人の心の動きを客観視する訓練ができるんだそうで、それを繰り返していると、自分の心の動きも客観的にみられるようになって、心の自己管理が出来るようになって、役作りのために「沈思黙考」する習慣や、南幅して人の人生について考えるようになって、それで、やがて自分のことも客観視できるようになって、やがて更生の道を歩みだす…ということのようです。
こんなに、心理描写が丁寧に描かれた映画、久しぶりに見ました。
私は、この映画と出会えてよかったです。