「Sue」シンシン SING SING ブレミンさんの映画レビュー(感想・評価)
Sue
アカデミー賞ノミネート作品組なので無条件で鑑賞。
囚人が監獄の中で行う舞台演劇とは?というところも面白そうでした。
ドキュメンタリーみたいなタッチで進み、演劇をするためのワークショップの様子を眺めているようでした。
更生プログラムのための演劇という、日本では中々観ることのない風習でしたし、厳しい面が強く描かれがちなムショ映画なのに開放感があったのが良かったです。
演技を通しての友情や信頼、演技があるからこそ生まれる乖離、演技をやっていたからこそ気づいた大切なものなどなど、演技と収監生活がここまでリンクするとはという驚きが確かにありましたし、演技力が裏目に出てしまうシーンもあったりと感情は大変でした。
主にGとアイの2人がメインで衝突したり、マイクマイクが賑やかしてくれたり、メンバーがそれぞれの境遇を語って和気藹々としたりするので安心して観れるな〜と思っていたところに後半では急展開が入ったりと、ここが監獄だっていう事を時折思い出させるシーンがある作りはリアルで良かったです。
ただ全体的には会話劇メインという事もあり、演劇でステージに立っている時は場面の移り変わりがあるんですが、どうしても素でやっている時の画面に華やかさは無く物足りなさを感じてしまいました。
カメラワークにうんたら言えるほど偉くはないんですが、アップで映しているシーンが多く、どうしてもノイズになってしまいました。
舞台ならではの臨場感もどうしても盛られ具合が過ぎてしまい、演劇よりもしっかり映画になっていたなと思いちょっと残念でした。
出演者のほとんどが囚人だったというのも素晴らしく、その雰囲気を知っているからこそ醸し出せる雰囲気がありましたし、ぶつかり合いもスリルがあったりと見応えがありました。
ラストシーンはちゃんとそこに繋がってくるのねというラストで、みずみずしいまでの空が美しかったです。
役者陣の振り分けかたがここでも活きてくるなんて、配置がうますぎるわ〜となりました。
日本では中々刑務所の様子が公開されることは無いので、日本の刑務所でもどんな更生プログラムが組まれているのかなという興味が出てきました。
なんにせよアカデミー賞ノミネートは納得な1本でした。
鑑賞日 4/17
鑑賞時間 18:35〜20:25
座席 B-11