劇場公開日 2025年8月8日

「終わりがよければ…」近畿地方のある場所について windploofさんの映画レビュー(感想・評価)

2.0 終わりがよければ…

2025年8月11日
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鑑賞方法:映画館

映画オリジナルの展開で、大体半分くらいは同一プロットをもとにしていますが、後半の展開及び結末は原作と全く異なります。
(ハードカバー版は未読のため、文庫版のみと比較)
原作でちょっとちぐはぐというか、話がつながらない?繋がりがよくわからない?という部分を、映像化にあたって取捨選択して一本に繋げようという意思が感じられました。
なので、話の筋はかなり分かりやすくなっています。
なお、制作陣に原作者の背筋さんも加わっているので、改変ではなく映画用に書き下ろしたに近いような感じになるかと。

序盤から中盤にかけては、VHSとか古いメディアの画質再現などとても素晴らしく、中々の展開でした。
特にニコ生のくだりは秀逸。
他のエピソードもスケアジャンプを多用しないホラーとしてはかなり良かったんじゃないかと思います。

終盤にかけてがだんだん雲行きが怪しくなってきて、怪異への対抗策が物理アタックというのは…
白石監督の前作「サユリ」で好評を博した展開だったので今回も、ということかもしれませんが、今作にはあまりフィットしなかったかなぁ…

ラストはうーん…原作展開は思いっきりカットして映画オリジナルにする、という監督インタビューがありましたが、確かに今回の配役では原作をなぞるには無理があるので、オリジナル展開に舵を切ったのは理解できます。
(文庫版原作では小澤と瀬野は同年代、かつ小澤は副編集長)
ただ、この展開にもっていくのであれば、瀬野に狂気が足りなかったような感があります。
前段の物理アタックからつなげる形でもっと狂気を前面に出してもよかったんじゃないかな。
その方がラストの展開にもっと振れ幅を持たせられたように思いました。

エピローグは完全に蛇足ですね。
カメラに向かって「ご連絡ください」と語り掛けるところで止めておけばよかったのに。
前段のラストシーンもそうですが、この作品に関しては、姿を見せる怪異はお化け的なものをチラ見させるくらいでよかったんじゃないかと思いました。
フェイクドキュメンタリー的な作品の場合は、クリーチャーをバーンと出しちゃうと、なんか興醒めしちゃうんですよね。
ラストシーンのウネウネ巨大木霊と、でっかいカエルの卵集合体みたいなやつ、エピローグの王蟲の赤ちゃんの触手みたいなやつ、この3点は絶対出さないほうがよかった。

全体通して、あんまりホラーに慣れていない中学生くらいまでが、友達とキャーキャー言いながら観るにはまぁいいんじゃないかな。
ホラー慣れしている映画ファンがみるには、ちょっと物足りないし粗が目立つ作品という感想でした。

windploof
はちくじさんのコメント
2025年8月11日

一つだけ補足させてください。
「近畿地方のある場所について」はWeb掲載版、書籍版、文庫版の3種類あるのですが文庫版だけは同じ資料を使用しつつもまったく内容が(それこそ登場人物すら)違うんです。
映画は書籍版の方の実写化だと思ってください(それでも後半は監督色の強いオリジナルですが)。

はちくじ
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