「期待していた感じとは違い、微妙……」近畿地方のある場所について nakadakanさんの映画レビュー(感想・評価)
期待していた感じとは違い、微妙……
原作小説を読んで面白いと思っていたので、映画も観に行ったものです。
大まかな流れや怪異の原因などは原作で分かっており、謎を追うようなミステリ要素が楽しめないのは仕方ないとして、どんな風に映像化されるかと期待していたのですが。
期待値が高かったためか、映画は微妙……という感想で。
冒頭からあからさまに怪現象を見せたり、分かりやすい異様な言動とかクリーチャー感とか、お化け屋敷的に驚かせる方向のようで、期待していた感じとは違うなと。
収集した情報を映像で見せるというのは納得ですが、映像内の声がうるさくて怖さとか不穏さがあまり感じられない部分が多かったです。
動画配信者の映像も露骨にふざけているしうるさいし、恐怖より不快感や滑稽さの方が大きく、あえてそうしてるのか?と。
終盤も、車で突っ込んだり石に吸い込まれたりとか、ブラックコメディのようにも感じましたし。
日本昔話風のアニメ映像については、こういうのありそうというクオリティと、そう見せるかという意外さがあり、ネタとしても好感が持てて面白かったです。
映画のストーリーとしても、怪異の関連性が分かりにくかったような。
異様な石の力により死者が怪異になって蘇る、その怪異はお札や呪いの動画を媒介して命を奪うようになる、ということかなと解釈していますが。
しかし、冒頭の編集者の怪現象のくだり、呪いの動画を見て了親子に憑りつかれたと考えられますが、未来の自分が現れて目を潰すというのはどういうこと?と。
失踪した少女の目撃情報でも目が消失していたようですが、そうなる基準がよく分からない。
編集者の妻の奇行も、何故?どういうこと?と。
過去に自死していた人も、死の前にはこんな奇行があったということなのか?と。
また、瀬野千紘と小沢の関係性も分かりにくかったような。
親しい仕事仲間というのは伝わりますが、小沢の方だけ「千紘さん」と下の名前で呼んでるのは何故?と。
下の名前で呼ぶ程親しいということかもしれませんが一方だけですし、仕事上の付き合いかプライベートでも友人なのかよく分からず、若い方が年上を下の名前呼びは違和感がありました。
最後の方で友達だといったセリフがありましたが、それならそれで最初にもっと分かるようにしてくれた方が良かったのではと。
千紘の異様ながら同情もできる執念を元にした話や、その執念が伝わる菅野美穂の演技は良かったと思います。
映画化のプロデューサーに関する記事で、「ミッドサマー」や「呪詛」を意識しているようなことが書かれていたので、期待していたのですが……。
原作のイメージでは「呪詛」のような構成が合っていたような気もしますが、まあ「呪詛」そのまんまになってしまうよな……とも思います。
