「近畿地方感は薄いが白石晃士度は濃い」近畿地方のある場所について ONIさんの映画レビュー(感想・評価)
近畿地方感は薄いが白石晃士度は濃い
きっと面白いであろう原作は読んでいない。
モンキュメンタリーっぽいタイトルだし、でもそれって劇映画にするのは難しいよな、と思いながら、でもそれが白石晃士!ワーナーブラザーズ!日テレ!という布陣で展開されるという興味しかない一作。あの「低予算であればあるほど面白い」白石晃士が遂に何かやり遂げるのか、と期待。
しかし、そこまでの新しさは特になかった。
逆に集大成感はある。白石晃士の。短編モキュメンタリーPOV映像を地下資料室で発見されたVとして短編集のように見せ、妙なデザインの暗号のようなものを探る旅がはじまり、そして夜の神社、暗黒神話、白石クトゥルフのクリーチャーもおしなべてクオリティは高い。しかしこれは白石晃士のオリジナル感が強く、どの辺が「近畿地方の〜」なのかはわからない。ただ場内は「あのこはだあれ」や「ドールハウス」みたいなゆるさはなく、何を見てるんだという緊張感がずっとあって、そして終わった時「こ〜ゆ〜やつか」みたいなカップルたちの苦笑いを見た。
難を言うとするとこのクラス(デートホラー)ではやりすぎ。キモすぎ。でもそこを無視してくれたところは拍手。しかしモキュメント動画を紡いでくメイン設定のふたりのところのドラマルックとビデオ映像の落差が面白さを削いでいる感じ。というか、圧倒的にビデオ映像のほうが面白く、ドラマパートのカメラは割とありがちなドラマを演出しているので面白さが死んでいる。失踪した編集者の家のシークエンスはとても面白いのだけどクライマックスに入っていく際にも手持ちカメラを持つ赤楚衛二とカメラ映像のスイッチングが行われるが、圧倒的にカメラ映像が面白く、ここでも「低予算であればあるほど面白い白石晃士」が立証されてしまう。特にその秘密を突き止めておおまかな設定が開示されてからのラストの回収が娯楽といえば娯楽のまとめ方なのだろうけど、ちょっと古臭い感じがした。逆に原作を読みたくなった。
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