劇場公開日 2025年8月8日

「白石晃士監督のファンなら絶対楽しめる!」近畿地方のある場所について コーイチさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0 白石晃士監督のファンなら絶対楽しめる!

2025年8月8日
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鑑賞方法:映画館

怖い

斬新

ドキドキ

今作は、白石晃士監督作品の大ファンである自分と、ホラー映画をほとんど観ない友人とで鑑賞しました。自分はかなり楽しめたのですが、友人は「よく分からなかった」との感想。つまり、この作品は白石監督作を少なくとも1本は観てから挑んだ方が、間違いなく楽しめると思います。特に『ノロイ』や『コワすぎ』シリーズは、作風や演出のクセを掴むためにもオススメです!

個人的には、前半の資料映像パートが特に印象的で、古いテレビ番組や色褪せたビデオテープの質感が、不気味さと現実感を同時に醸し出し、物語への没入感を高めています。その中に映る証拠や証言を自分の中でつなぎ合わせていく過程は、まるで未解決事件を追うミステリーのようで、観ていてワクワクしました。映像や音の細部にまでこだわった演出も、作品全体のリアリティをしっかりと支えています。

終盤は、まさに白石監督らしさが全開。良くも悪くも現代のJホラーの枠から外れた、突き抜けた表現が繰り広げられます。この独特のテンションや演出は、熱心なファンにはたまらない一方、慣れていない観客には衝撃が強く、好みがはっきり分かれると感じました。

原作小説「近畿地方のある場所について」は人気作で、文学的な魅力を持つ作品ですが、それを映像化するにあたり『コワすぎ』シリーズ的なノリや勢いを投入したことで、作品のトーンがより尖ったものになっています。ホラー初心者にとっては刺激が強く、戸惑いから否定的な意見になるのも無理はありません。しかし、そのリスクを承知で振り切る白石監督の姿勢は、まさに彼らしいと感じました。

もちろん、自分にも残念に感じた部分はありました。特に「ましらさま」のビジュアルには正直納得がいかなかったです。というのも、元になったアニメ映像で「まさるさま」が登場するシーンを観て以来、自分の中では山の声の主をあの男の人としてイメージしてしまっていて(しかもアニメの声も地味に不気味で怖かった)、その印象が強く残っていたんです。それだけに、実際のビジュアルを見たときはかなりガッカリしてしまいました。白石監督らしいあの表現自体は好きなんですが、そこまでの過程が丁寧に積み上げられていただけに、落差を感じてしまったのも事実です。

また、白石監督が得意とするフェイクドキュメンタリーの要素とファウンドフッテージの要素、そして今回の作品の底に流れる劇映画的な要素が、絶えずぶつかり合っている印象を受けました。自分は白石監督のファンなので楽しめましたが、終盤にかけての展開は、もし監督を知らなかったら間違いなく「否」の方に傾いていたと思います。そういう意味では、一部の否定的な意見にも共感できる部分がありますね。とはいえ、監督をよく知っている人にとっては、「彼だからこそ成立するおまけの楽しみ方」や「もう一つの別の味わい方」を体験できる、そんな作品だったとも感じています。

ちなみに、個人的に特に印象に残ったのは、中学生たちの集団ヒステリー映像と、千紘が車や鉄パイプを手にして一気に覚醒するシーン。どちらも迫力と緊張感がすごくて、画面から目が離せませんでした。

そういえば、前半と後半で異なって、それぞれで評価が違う似たような作品がある。そう、これ劇場で公開された『機動戦士Gundam GQuuuuuuX』なんですよね。前半80、後半70みたいな点のつけ方をして、全体だと50点みたいな作品。これが結論ですかね...。

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