劇場公開日 2025年8月15日

「戦争映画の高齢者とアンパンマンのちびっ子は本当にうるさい!!」雪風 YUKIKAZE 野川新栄さんの映画レビュー(感想・評価)

4.5 戦争映画の高齢者とアンパンマンのちびっ子は本当にうるさい!!

2025年9月1日
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鑑賞方法:映画館

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2025年映画館鑑賞81作品目
8月30日(土)イオンシネマ石巻
ACチケット1000円

『シベリア超特急』『鳶がクルリと』『山桜』『空母いぶき』『鬼ガール!!』などで長年助監督を務めた山田敏久氏の初監督作品
脚本は『ホワイトアウト(2000)』『山桜』『柘榴坂の仇討』『探偵ミタライの事件簿 星籠(せいろ)の海』『空母いぶき』の長谷川康夫

1942年(昭和17年)ミッドウェー海戦後の駆逐艦雪風の奮闘を描いた戦争映画

沈没し投げ出された兵士を救出する役目も担う何でも屋の駆逐艦『雪風』
必ず帰港することから「幸福艦」という異名も

自衛隊全面協力
戦争の悲惨さとか反戦のメッセージは希薄
それも当然で軍人同士の戦いだからである
悲惨なのは米軍による日本全土無差別爆撃の方
艦内の作戦会議では度々幹部が談笑する余裕も
藤田進主演の戦意高揚映画を思い出す
戦争の悲惨さをそんなに知りたければジャーナリストとしてイスラエルやウクライナに行けば良かろう

いまだにハリウッドと比較して日本のCG表現を見下すレビュアーは数名いるようだが自分は全く気にならなかった
子供の頃にかなりちゃっちい映像作品を観てきたのでそれに比べたらかなり良い
そんなにハリウッドが良いなら邦画に圧倒され大苦戦してるのがおかしいじゃないか
アニメは別として多くの映画ファンは人間を観に来てるわけでCGの出来栄えなんてそれほど重要視してはいない
プレステとかTVゲームの映像技術を語り尽くすなら話は違うが
CGはあくまで補助であって主役は人間
そこを履き違えては映画評論として失格である

戦争映画は男のドラマだ人生だ
兵隊さんは全員男でどうしても男性俳優中心になる
軍隊を中心に描くと女性俳優はチョイ役になってしまう
朝ドラのヒロインのような出しゃばりは存在しない
特にこの時代の女性たちは非常時ゆえに協調性を重んじる
数年前はこんな人もいただろうと受け入れてきたが現代の知的な女子高生が大東亜戦争末期にタイムスリップする『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』を観たら受け止め方が変わった
大東亜戦争という時代背景にNHKのプロデューサーとディレクターと脚本家がオーパーツとも言える現代的価値観をねじ込んでくるため違和感を通り越して高級なコントに昇華される
フィクションならそれでも良いが再現ドラマとなるとそうはいかない
民放ならともかく貧困層含め未成年を除く全国民から受信料を巻き上げる「公共放送」NHKという立場なら許されることではない
TBSと違いサヨクにターゲットを絞ったニッチ産業は認められない

かなり脱線した
話を元に戻す
竹野内がときおりみせる表情が良かった

ラストは現代を生きる観客へメッセージ
これは可哀想な人たちの昔話では終わらない
『火垂るの墓』のラストと相通ずるかもしれない

エンドロールは曲がない
漣の音と時折聞こえる汽笛の音のみ
船の映像があれば良かった

『ベストキッド』シリーズ最新作のあとにこの作品を鑑賞したがチケットを買った時の高齢者の行列にギョッとした
地元の老人会のイベントだろうか
高齢者といっても映画鑑賞に来る人の殆どは戦後生まれだ
そういう時代になった
彼ら彼女らの多くが父親が兵隊だったであろうから我々の世代とはこのジャンルの受け止め方は違うだろう
とはいえ隣の席でビニール袋をしばらくガサガサするのはやめてほしいものだ
そんなことをするのはおばあさんだけだ
爺さんの歩く音もうるさい
困ったものである

配役
「雪風」の艦長(中佐)の寺澤一利に竹野内豊
寺澤の若年期に長谷川幹
先任伍長(上等兵曹)の早瀬幸平に玉木宏
水雷員(二等水兵)の井上壮太に奥平大兼
砲撃長(大尉)の有馬岩男に藤本隆宏
航海長(大尉)の中川義人に三浦誠己
水雷長(大尉)の佐々木伊織に山内圭哉
機関長(大尉)の藤井道郎に川口貴弘
主計長(中尉)の佐藤捨造に中林大樹
幸平の妹の早瀬サチに當真あみ
早瀬の母の橘ゆかり
サチが預かる犬のハチにチャコちゃん
一利の妻の寺澤志津に田中麗奈
寺澤の娘の寺澤多賀子に原春奈
多賀子の成人期に有村架純
呉の海軍工廠で設計士をしている一利の義父の葛原芳雄に益岡徹
軍司令部作戦課長(大佐)の古庄俊之に石丸幹二
大日本帝国海軍・第二艦隊司令官(中将)の伊藤整一に中井貴一
航海士兼通信士の池内晋作に片岡久道
水雷員(上等兵曹)の酒井三郎に川島潤哉
水雷員(二等兵曹)の加藤良吉に加賀成一
水雷員(上等水兵)の竹岡明に三宅亮輔
水雷員(上等水兵)の尾崎由松に山脇辰哉
水雷員(上等水兵)の中西平作に渡邊りょう
水雷員(上等水兵)の南都志夫に渋谷朋
機銃員(上等水兵)の山倉寛太郎に鹿野宗健
上等水兵の古賀寛治に小野寛幸
雷探員の宮本長一郎に納谷健
見張員(一等水兵)の久保木誠に小林虎之介
機関員(機関兵長)の磯野正則に國島直希
「大和」の艦長(大佐)の有賀幸作に田中美央
「磯風」の艦長(中佐)の神宮司克己に綱島郷太
参謀長(海軍中将)の草鹿龍之介に鍛冶直人
海軍兵学校校長・第二艦隊の司令官(海軍中尉)の栗田健男に藤田宗久
第三艦隊小沢艦隊の司令官の小沢治三郎に田代隆秀
第一遊撃部隊参謀(大佐)の白石義弘に平井真軌
第一遊撃部隊参謀(中佐)の菅野茂に采澤靖起
第二艦隊C部隊西村艦隊の司令官の西村祥治に岸田研二
第21駆逐隊司令(大佐)の小野寺久雄に工藤俊作
「磯風」先任伍長(上等兵曹)の東吉三郎に西興一朗
「朝霧」の艦長(中佐)の杉浦興四郎に清田智彦
「濵風」の艦長(中佐)の渡辺萬衛に松永大輔
「大和」通信士(少尉)の風間健二郎に川郷司駿平
軍令部作戦課員(少佐)の西野章に朝井大智
軍令部作戦課員(少佐)の足立太郎に伊藤祐輝
軍令部作戦課員(大尉)の岡田健史に上谷圭吾
寺澤の江田島海軍学校の同期の遠山清二に金田昇
寺澤の江田島海軍学校の同期に野島透也
寺澤の江田島海軍学校の同期に石岡飛鳥
在郷軍人会の吉川に重松収
芋掘りの農民に高橋映葉
芋掘りの農民に妻鹿有利花
自衛隊に救出される少年に松本瑛貴
少年と共に救助される猫のみーちゃんにういちゃん

野川新栄
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