「2人に1人」デビルズ・ゲーム U-3153さんの映画レビュー(感想・評価)
2人に1人
壮絶だった。
ツッコミどころもあるにはあるが、やはり韓国の脚本は面白い。またそれを体現する役者がいるからこそか。
連続殺人鬼と刑事の体が入れ替わる。
いや、そういう設定は過去にもあった。ありはしたが、ここまで動悸が早くなるような作品はなかった。
出来るかどうかは別として「洗脳」がキーワードで、仕掛人は刑事側だ。
殺人鬼達4人を検挙する為、主犯格の男を洗脳する。そして、刑事が殺人鬼を演じるわけだ。
「俺の言う事を聞かなければ、家族をレイプして八裂きにするぞ。」
この時点で殺人鬼は精神が入れ替わったと信じ切ってる。前半の刑事も思わせぶりな芝居をしやがるから半信半疑だ。いや、そんな事が出来るのか?
ここできっちり作品に騙されておけば、これ以降はデビルズゲームの観客として参加できる。
俺は騙された派だ。
演じ分けも上手くて…元々がベイビーフェイスだから、良い人適正も高いのだ。
かくして洗脳された殺人鬼は妻と娘を人質に取られたと思い込み、共犯者達を探しにいく。実際は、刑事が家に帰っただけなのだけど。
それに加えて、刑事の相棒も「入れ替わり説」を信じてしまうから、二重の罠が仕掛けられてるみたいなもんだ。この相棒の視点も面白かった。
結局は覚醒した殺人鬼に殺されてしまうのだけど。
そう、途中から殺人鬼は自我を取り戻すのだ。
その上で、いまだ洗脳にかかってるフリをする。
いやいや、どうなっていくんだ?
ハラハラドキドキ…。
いったいどっちに軍配が挙がるのだろうか?
悪魔のような猟奇殺人犯か
それとも
悪魔に魂を売ってでも犯人を挙げようとする刑事か。
この刑事には、義理の弟でもある元相棒をこの殺人鬼に殺されたって背景まである。血眼になるお膳立てはバッチリ整ってるのだ。
綿密に練られた脚本だなぁと感心する。
ラストシークエンスは、ちいと疑問を呈せずにはおれないものの、最後の最後まで、見応えはあった。
あの局面で、洗脳を解いた後どうするつもりだったのか分からずで…先に洗脳が解けた時に混乱するような事も放心するような事もなかったし…。
後は注射がなぁ。
そんな即効性の代物ではなかったろうと。
が、この2つは後の展開を考えると致し方ない事でもあって、おかげで最後の最後まで、どっちが勝つのか分からなかった。
が…脚本上の都合を回避出来なかったのは残念だった。
結構、グロテスクな描写も多いのだけど、それこそ作品な質には大貢献しており、韓国の業界は元気だなぁと羨ましい。
役者の熱と、作品の質感に押し切られた感じもするが、ホントに最後の最後まで、どっちにも転びそうな展開で…刑事は同僚に撃たれる。それも2発も。
致命傷だ。
これで息絶えて終わりかと。殺人鬼に軍配が上がるのかと思いきや、最後の力を振り絞って包丁を殺人鬼の胸に突き立てる。
刑事の体重が包丁を深く深く突き刺していく。
断末魔の声を上げる殺人鬼。どちらの息の根が止まるのが早かっただろう。殺人鬼の方がほんの少し早く息絶えたように思う。
が、そのラストカットに声がかかる。
「おい、まだ息があるぞ!」
刑事の首元を押さえて言った台詞にも聞こえるのだけれど、どちらに向けて掛けられた言葉か判断し辛いのだ。なかなかに味な幕引きをしやがると、最後の最後まで楽しかった。
病院のベッドに運ばれ、目が覚めた時、起き上がりふと鏡に映り込む顔はどっちの顔なのだろうか。
余談だが…
序盤のミスリードではあるものの、1ヶ月後の車内を想像すると可笑しくてたまらない。
運転してた殺人鬼は気を失っていて、助手席に乗っていた刑事は手錠を嵌められてい多様に思う。
刑事の自作自演なのだろうと思う…w
手が込んでるなぁと。
ベッドで起き上がった時に、殺人鬼は刑事である事に気づいた様子だったしな。
つまりは、助手席からハンドルとアクセルを操作し、暴走したてい、つまりは車内で一悶着あったという既成事実を刑事が作ったって事だもんなぁ。
…作り込み感半端ねぇなw