陪審員2番のレビュー・感想・評価

全57件中、1~20件目を表示

1.0配信あるだけ御の字。

2024年12月22日
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クリント・イーストウッド。

監督としては、1992年の「許されざる者」から2016年の「ハドソン川の奇跡」まではまさしく黄金期で、オレ個人としては、「アメリカン・スナイパー」(’15)のようにあまり好きではない作品があるにはあるが、素晴らしい作品ばかり。

ただし

前作「クライ・マッチョ」('21)という、あきれるほどの駄作を放ってしまったことで晩節を汚すことになってしまうのではと。スライの名作「オーバー・ザ・トップ」(’87)、そして蛇足の「ランボー ラスト・ブラッド」(’20)を彷彿させるが、それすらよく見えるほど。

もともとイーストウッドはそれほど政治的なテーマを全面に描き、自らの答えを出すほうではないが、少年がアメリカ人の父とメキシコ人の母の子だという設定が全然活きていないなど、「クライ・マッチョ」は言うなれば、商業作品としても「自覚」の足らない作品だった。

最新作は、アメリカでほんの一部の限定公開の末、配信に移り、日本では配信のみ、ということ。この流れで本作の「価値」はある程度想像はできる。

「陪審員2番」




そりゃそうだ。

とにかく、プロットだけで進み、イーストウッドの、「いつもの結末」で終わる。絵的な驚きがないのはいつものことで、よく言われる彼の「手堅い演出」というのは、現場や役者陣の力量に依存している、とさえ思うほど目を見張るものがない。

そもそも論として、現代ではこの状況はほぼほぼあり得ないのだが、その「雑さ」を百歩譲ってみたとしても、真実と正義は必ずも一致しない、とは凡百の法廷サスペンスでも見かけるテーマ。

この映画で語るべき、最も確かな「正義」はある。

主人公側でいうなれば、飲酒運転をしないこと。精神的に不安定な時に、車を運転しないこと。土砂降りの中、わき目を振らずゆっくり運転すること。容疑者側でいうなれば、パートナーと公の場で喧嘩しないこと、土砂降りの中、パートナーを一人で帰らせないこと。(これは容疑者が最大の後悔といってたが、まさにその通り。)

良心の呵責と保身とか以前に「確固たる正義」を描けよと。つまりこれはイーストウッド自身の「自覚」にかかわる部分とも思えるほど、そこは一切触れていない。

作品がそうなのだから、実はイーストウッド自身もそうなんじゃないか、と見えてしまうわけだ。もちろん、その人となりについては、作品の評価とは関係はない。だが、名前でありがたがる人もいるわけで、「イーストウッド」の名前で目くらましを食らう。

イーストウッドは、後年しばらく「一般アメリカン人の正義、勇気」をいろいろな形で描いてきたわけで、本作の主人公もいわば「一般アメリカ人」。イーストウッド自身こそがその主人公(そして容疑者も)であったとするならば、と観ると、自身のやんちゃな人生の「自覚」や「自省」はあるのかもしれないが。

ワーナーはそれはもう「正しい」処置をしたと思う。

追記

コレット演じる検事もよくある役どころで、いつもの、最後に揺れる検事役。
サザーランドの役もひどいもの。シモンズもあり得ないキャラクター設定。

追記2

と同時に、主人公のニコラス・ホルトは頑張ってはいるが、この顔をみると、本作30年前のクルーズだったら、と思ったりしたのだが、意外とクルーズを意識した演技に見えた。

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しんざん

4.5シビアな展開で描く人間の良心の脆さ

2024年12月21日
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ニコ

5.0圧巻の傑作

2025年1月31日
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映画館で観られる機会は訪れそうにないので、仕方ないので配信で観た。近年のイーストウッド作品の中でもかなりよくできた部類に入る作品ではないかと思った。特殊な見せ方は何一つしていない、しっかりした本を用意して、しっかりとキャスティングをして、しっかりと撮影する。揺れる天秤などメタファーも実にシンプルで奇をてらったものではないわけだが、出てくるタイミングが絶妙なので、すごい効果的だ。話の運びのテンポもいいので、全然ダレることがなく最後まで緊張感を持って見れてしまう。
真実は藪の中、ならぬ真実は雨の中、という作品なのだけど、目隠しされた女神の天秤像はアイロニーにも見えてくる。「見かけにとらわれずに偏見を持たず、お金や権力にも左右されずに公平に真実をジャッジするということを象徴」するのが目隠しされた正義の女神像なんだが、目が見えない=視界不良の激しい雨の中、という意味にも思えてくる。
ニコラス・ホルトの終始不安そうな眼つきがすごく良い。一方のトニ・コレットの目力は力強くて、自分に間違いはないといい自信に溢れているように見える。このイメージが最後まで映画を緊張感を与えていて、キャスティングって本当に重要だよなと改めて思った。

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杉本穂高

4.0陪審員の中に事件の容疑者がいたとしたら。。。

2024年12月23日
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怖い

嵐の夜、1組のカップルがバーで言い合いになり、女性は外に飛び出し、その後、橋の下で惨たらしい姿で発見される。容疑者として浮かび上がったのはバーにいた被害者の恋人で、招集された陪審員の多くは事件の目撃証言や状況証拠から有罪を主張する。しかし、それは正しい評決なのか?

これまでも、人々の大多数が信じる正義というものに疑問符を付けてきたクリント・イーストウッドは、事件の真相を究明するのではなく、あろうことか、異なる容疑者を陪審員の1人に加えることで事の成り行きを複雑にする。知られざる新たな容疑者は保身のために評決をミスリードし、そこに次期検事長の座を狙う敏腕検事や、多忙なために早く裁判を終わらせたい弁護士や、陪審員の中に捜査好きの元刑事を潜ませたりして、この物語の行方を曖昧にしていく。観客からすると、目が離せなくなる。

陪審員制度の問題点を突くことで、真実=正義という構図を一旦壊し、そこから、正義を諦めない人間の可能性へと繋げる語り口は、まさに、イーストウッドならでは。無駄のない演出は年齢を重ねても変わらぬ抑制力の賜物ではないだろうか。

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清藤秀人

2.0期待し過ぎたか

2025年3月28日
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事前に設定だけ知って、面白そうだと思って観てみたが、期待以上のモノは無かった。
もっと、ひりつく様な緊迫感が欲しかった。
ニコラスホルトの演技も、少し、物足りなく感じた。

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カワハギ君

5.0イーストウッドさんは最後に鑑賞者に映像で魔法をかけた。

2025年3月18日
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マサシ

4.5抜群におもしろい

2025年3月18日
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いやぁ、おもしろい!
こんな見応えたっぷりの映画が日本では劇場未公開になる今のトレンドがおそろしいくらい…。

真犯人が陪審員として被告を裁く側に立ち、公の正義と自らの保身のあいだで揺れ動く感情が絶妙!
そして陪審員どうしで議論を深めるうちに変化していく評決。
最後まで結論がどちらに転ぶのか分からないスリリングさが観ているこちらまで緊張感を引き上げ、最後は吐きそうになるほどだった…。

人が人を裁くことの難しさ。でもそれでも結論を出していかないと社会の秩序は保たれない。
正義とは何なのか。正義より価値のあるものはあるのか。
様々な問題提起がされている本作は現代版『12人の怒れる男』のようでもある。

ほんのすこしの偶然や運。それによって有罪になったり無罪になったりすることは実際にあるんだとおもう。そんな不完全さで社会はできていて、そのなかで生きている。

でも、だからこそ、1人ひとりが何を大事にして生きていくのかが問われている。ほんとうに大切なものを見失うなよと、そう問いかける94歳のイーストウッドの姿がまぶしい。

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ヨーク

3.0良心の呵責…

2025年3月15日
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知的

真実を告白し、冤罪のサイスを助けるか、そうなると自身は過去の依存症から服役することになり、家族は守れない。苛まされる姿をニコラス・ホルトが好演。またサイスを有罪にした功績で検事総長に就いたフェイスも判決を覆すべく真実を伝えるか、そのまま椅子に居座り続けるのか、両者の葛藤が見どころだった。サイスは正義ではなく、家族を守ることを選択したがラストはフェイスが正義を行おうとするところで終わる。

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KEI

4.0最後まで見てしまう。

2025年3月10日
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難しい

ラスト近くで被告人が罪を犯したかどうかが判るシーンが出てくる。また真実がどうかは別として、犯した罪を正確に評価することが不可能に近いことが最初の方の主人公が弁護士に相談する場面で描かれる。正しく罪に向き合いたくても躊躇してしまう法制度の現実について考えさせられる。シドニー・ルメットの「十二人の怒れる男」もそうだが陪審員制度、日本での裁判員制度について良い点、悪い点を突きつけられる。そして人を裁くことの難しさを突きつけられる。人は程度の差こそあれ過ちを犯す可能性は誰にでもあるが、その場合、正しく裁いてもらうことが如何に難しいことかが判る映画だった。

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msk

4.5正義について考えさせられた…

2025年3月2日
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知的

難しい

タイトルからして、「十二人の怒れる男」のイーストウッドなりの映画なのかなと予想したが、似て非なる作品だった。主人公の驚き、怖れ、葛藤などが、ひしひしと伝わってきた。しかも、だんだんわかってくる主人公の別の側面。監督はこの話にどう決着をつけるのだろうかと最後まで目が離せなかった。そして見事なまでの幕切れ。さすがと言わざるを得ない。それにしても、アメリカでも高評価だったというこの作品を最初から配信に回すなんて信じられない。ひどすぎる。配給会社には良心がないのか? あくまでビジネスで人が入らない作品は劇場公開しなくてもいいというのだろうか? 悲しい。私の大好きな「アバウト・ア・ボーイ」で親子として共演した2人がこうして主演として対峙する映画に出ることになるとは感慨深いものがあった。

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瑞

4.0これ、こっわっ

2025年2月24日
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 背筋、ぞっとしますね。こんなことってシチュエーションは違えど誰にだって起こりかねない。そんな時、自分だったらどんな判断しますかって話ですよね?正義も良心もわきまえたほぼ善人のこの主人公のとった行動を非難する自信を持てない自分がいる。もしくは、自分が気づかないうちに誰かを陥れたり傷つけたりしていることだってある。
 そんなこと考えてると、なんだか精神えぐられそうです。この作品は日本では劇場公開されてないんですね。無理ですよね。それでも問題を提起し続けるCイーストウッド監督に感服です。

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おまつ

4.0さすがイーストウッド!

2025年2月23日
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楽しい

興奮

知的

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リコピン大王

5.0紛うことなき傑作!!

2025年2月15日
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イーストウッド、94歳にしてこの作品を世に送り出してくるとは、あっぱれを通り越して映画の申し子と言えるくらいの傑作。久々に満点を付けられた。

人物像の描き方も心理描写も完璧に近く、ひとたび主人公に感情移入しようものなら終始動悸が止まらなくなるほど凄まじい。正義とは、法とは何かの問いかけに誰ひとり答えられないのではと思わせてくる傑作だ。ラストもこの映画の場合は完璧だと思う。

人に勧めたいのにU-NEXTで見てねと言わねばならぬのが残念だ。

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マルボロマン

5.0人間の弱さ

2025年2月14日
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うどん人

4.0自分だったら

2025年2月12日
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怖い

知的

難しい

見ていて、自分だったらどうするだろうと考えました。

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たくわん

5.0この作品が配信のみなんて狂ってる

2025年2月12日
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前半はニコラス・ホルト演じる主人公ケンプの表情を見ているだけで面白かった。この男はどうするのだろうかと。
徐々に自分が真犯人である事実を認識していく中で、一見すると無表情の奥にあるゆらぎが見え隠れする。

後半になると「十二人の怒れる男」のような様相になっていく。しかし「十二人の〜」と決定的に違うのは今の被告人が無実であることが観ている私たちとケンプには分かっていることだ。
言葉にはしないケンプの心情が揺れているのが分かる。ケンプにとってはどう転んだとしても覚悟が必要なのだ。その覚悟が中々決まらない心が遠くに見える面白さがある。

「十二人の怒れる男」は信念を持って正しい行いをしようとする男の物語だ。アメリカの正義などと言われたりもする。
中身をもっと正しく認識するならば、出自や環境、地位や人種、過去によって、その人物を決めつけるなというものだ。
本作でもそれと全く同じことが展開される。被告人は過去の行いによって有罪にされようとしているのである。

ここで重要になるのが主人公ケンプである。今の被告人が過去のことによって有罪になるのであるならば、ケンプもまたあの席に立てば有罪になるであろうことが確定していることだ。
確かに彼は被害者を轢いたが、酒は呑んでおらず、大雨により視界も悪かった。衝突のあと車を降り当たったものの確認もしている。
アメリカの裁判制度の場合、無罪となる可能性も高い。しかしそれは、しっかりした生活があり過去も綺麗な場合である。

「十二人の怒れる男」は1957年の作品だ。
その時から今までアメリカは何も変わっていないのだ。いや「人間」は、というのが正しい。
見た目が怪しいから、昔悪いことをしたから、それだけで「今」を罪人扱いしてしまう。
頭で考えず、イメージだけで物事を判断してしまう危うさは常にどこにでも存在する。

イーストウッド監督の最後の作品かもと言われている本作だが、ニコラス・ホルトの表情と脚本の功績が大きいように思う。
とても面白かった。

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つとみ

4.0ただの法廷劇ではない仕掛け

2025年2月10日
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怖い

興奮

知的

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ふぇる

5.0結末のワンショットに、イーストウッド監督が全作品をかけて訴えてきたメッセージが凝縮している感のある一作

2025年2月9日
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ついに本作で映画監督を引退する(ということになっている)イーストウッド監督ですが、あらすじだけでは盛り上がりポイントが分かりにくいにもかかわらず、しっかり全編に緊張感をみなぎらせた無類に面白い作品に仕上げる、という手腕は相変わらずで、「裁判映画じゃ、途中で飽きるんじゃない?」という事前の予測をやすやすと裏切ってくれます。

本作はものすごくざっくり言うなら、陪審員としてある事件に携わったら、どうも自分自身が事件にかかわっていたんじゃないか、と気づいてしまった男の物語です。

他の陪審員も有罪に傾いているし、じゃさくっと有罪にしちゃえば真相は明るみに出なくて済むはず、という状況。しかし「善きアメリカ市民」たろうとする彼は、不十分な根拠や思い込みだけで有罪の評決を下すことに強い抵抗を感じます。良心に従って真相を明らかにするべきなのか、それとも彼の経歴と家族のため、真実に目を瞑って容疑者を有罪にするべきなのか。あまりにも苦しい状況に、見ているこちら側も緊張しっぱなしです。

結末の最後のワンショットの切れ味は鋭く、ここで監督は画面の向こうにいる観客に、最後の、そして鋭いメッセージを投げかけているようです。イーストウッド監督が全作品をかけて、正義について、人間の尊厳についてどう語ってきたのか。これからさらに問い直していくことになりそうです。

ていうか、やっぱり本作で引退は惜しすぎ。きちっと劇場公開した作品で引退していただきたいところ!

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yui

4.0テーマの表現がよくできている

2025年2月5日
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 『十二人の怒れる男』に少し似ているストーリーだ。それをさらにクリント・イーストウッドらしく後味悪くした感じの映画だった。主人公の置かれている状況が徐々に判明してくる展開が、観ていて思わず感情移入しソワソワしてくる。

 今作は【正義とは何か】というテーマが上手く表現されている。憶測や印象で裁判の行方を決めていいはずがない。一人の人生がかかっているのだから、状況を多角的に検討し冷静に判断するべきだ。そのテーマを、主人公含む陪審員、検察官の言動の変化で見せてくれた。

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根岸 圭一

3.5絵的に難しそうだなと思ってたけど、 割と分かりやすくて内容的にも結...

2025年2月5日
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絵的に難しそうだなと思ってたけど、
割と分かりやすくて内容的にも結末が見えなくて引き込まれた!!
どう転んでも幸せになれない系

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ジュディス