「ドンッ!」シネマティックコンサートツアー Chageのずっと細道 東西南北 発破64@発破67(C)さんの映画レビュー(感想・評価)
ドンッ!
ステージ映像と舞台袖に控えるChageさんのシルエットが交錯する
Chageさんは言う「何に向かってんだろうね」
ドンッ!某曲イントロ、先ほどから絶妙なタイミングでドラム音が響き、ライブが始まるドキドキとリンクする
ドドンッ!32年前に作られたこの楽曲は、実はこの映画の為だったのではないだろうか?当時、こんな大スクリーンで流れることになろうとは、誰が予想しただろう
そう気持ちが高ぶった途端、スクリーンに映るは別人28号のChageさん、その姿は田んぼで稲刈りに黙々と勤しんでいる、かと思えば細道ツアー楽屋のChageさんへ
緩急が凄まじい、Chageさんは何人いるのだろう
お客さんとして来場したバンドメンバーが言う
「Chageさんのライブってこんなに楽しいんだ!最高!!」
ステージに立つライブと客席で観るライブ、どうやら異なるものらしい
「○○さんと出会って、バンドしか知らなかった僕が、アコースティックギターでもふくよかなライブが出来ると思った」
「このタイトルは終わらしちゃいけない、ずっと旅していられるようなコンセプトで、ずっと細道」
Chageさんの言葉が印象的だ
楽屋でギターの弦を張り替える、発声練習する、ドラムを叩く姿はどれも貴重で、特に軽快なドラムさばきは秀之もとい秀逸、永遠にずっと見ていたくなる
某ライブハウス楽屋壁にぶつかり合う、欲望というパワーを見たChageさん
「叫びが聞こえてきそうでしょう、魂感じるんだよ、これ見ると」
「ライブハウスやって、ホールをやる、次、武道館、原点はライブハウス」
ミュージシャンのセオリーを「自分は経験できなかった」とするChageさん、これも印象的だった
「若い頃出来なかったことを、今やっている」
エスカレーターで上がってきた道筋、今あえてその階段を上がり、そのひとつひとつの筋道を楽しんでいるのだろう
「身体はそのためストイックに、最低限のことはしているつもり」
今のChageさんは序章に過ぎない、これから先、待っている未来への用意周到な覚悟が垣間見れた
「お客さんが少人数だと温度が分かる」
「ホール・アリーナは『塊』になる、細道ツアーは『粒』が見える」
お客さんが楽しんでくれていることが目に見えて、肌で感じられる今を喜ぶChageさん
デビューからこれまでを振り返り、もっとも忙しかった頃にはその『塊』から逃げるように、ライブ終演時には会場から去っていなければなからなかった、そんな貴重な逸話を披露するChageさん
これらの表情・声は、是非大きなスクリーンで観て、もっと多くの人に今のChageさんを感じて欲しいと思った瞬間だった
関係者が語るChageさん、これにもグッと引き込まれた
「45年闘ってきた人の後ろで演奏するプレッシャー」だなんて想像するだけで恐ろしい、脇汗パラダイスになる
『先生vs先生』イスをめぐる攻防、はたして軍配はどちらに…まだ観ていない人には、大スクリーンでこの結末を確認して欲しい
SAPPOR○黒ラベルvsアサ○スーパードライ、このコマケー勝敗も見逃して欲しくない
デジタルなのにアナログ音「カシャカシャカシャ」ツカサシステムにも気づいて欲しい
「いつか『Chageさんみたいなライブをやってみたい』という若手が出てきたら嬉しい」と真面目に語る楽屋のChageさんは、サンタ帽にジャージ、そしてクロックスという装い
このギャップ萌えも大きなスクリーンで確認して欲しい
滑稽に見えるかもしれないが、上辺の言葉ではない、率直にそう思っていることを感じ取って欲しい
笑いが起こる場内、私は真剣に見入っていた
とあるカットで、ライブの盛り上がりと逆行し、鳥のさえずりが静寂に木霊する印象的なシーンがある、これには坂本あゆみ監督の匠を見た瞬間であり、是非スクリーンで感じて欲しいと思う
そして字幕の間奏に封入された、アナログ盤の投げ込み裏表紙のようなオフショットの数々、この監督のセンスにも注目して欲しいし、Chageさんの一芸も見逃せない
Chageさんは言う
「何に向かっているんだろうね、今はゴールが分からない、何かを見つけたい」
「細道もROCKだと思ってる、削ぎ落とされたROCK」
「どこまで歌えるんだろう」
「飄々と歌っていきたい」
映画を観た数日後、ある歌がよぎった
『風をくぐって君に逢いたい 答えはその中にある』
行かれる人には是非、今からでもチケットを買って、映画館で観て欲しい
今のChageさんを、その目で確認してください、お願いします