「セリフばかり気取っても…ね。」LUPIN THE IIIRD THE MOVIE 不死身の血族 kazzさんの映画レビュー(感想・評価)
セリフばかり気取っても…ね。
ルパンと銭形の空中ドッグファイトから始まったので、これは違うな…と感じた。
小池健監督はギャグを抑えたアダルトな「ルパン三世」を見せたいと言っていて(原作はギャグマンガなのだが…)、前作までの4編でその志向は感じた。「原点回帰」をキーワードだと宣言しているとおり、〝1st ルパン〟の大隅正秋監督版へのオマージュも少なからず感じられたし、『ルパン三世 ルパンvs複製人間』(’78)との関連を匂わせるなど、クラシック・ルパンのファン心を刺激してくれた。
ただ…
もちろん、アダルトがシリアスと同義語ではないのだから荒唐無稽で良いのだけれど、30年ぶりと言われるこの2Dアニメ劇場版で、原点回帰を謳い文句にした割にルパンと銭形の空対空爆撃戦で始めるのか…と、違和感を抱いてしまって、それは映画が進むに伴って増すばかり。
なにしろ、現れたのは人ならざる不死身の血族(なぜ血族なのかは分からないが)だったという…。
なぜこんな展開にしてしまったのだろうか。
しかも、ルパンはスーツではなくポロシャツ姿だし、次元は早々に帽子を失って終始頭が丸出しなのだ。
これをリアルと感じるか、奇をてらって見えるかは人によって違うと思うが、あの気取りすぎたセリフのオンパレードも然りで、程度を超えている気がして私は少々シラケてしまったのだった。
峰不二子はこのシリーズで毎回裸にされて、一度脱ぐと裸の仕事しか回ってこなくなる昭和の女優みたいで気の毒だ。
本作のルパンは自分が「泥棒」であることを殊更に強調する。でも考えると、〝とんでもない財宝〟があの島に眠っているはず…というのは勝手なルパンの思い込みではなかったか。
結局、狙った獲物は必ず頂く…とはいかなかった。
あの島にこのシリーズ通貫の敵の黒幕がいることになっていて、それがマモーなのだろうとオールドファンは思わされて劇場に来ているが、当然『…vs複製人間』に至る前日譚ならまだ二人が対峙してはいけない。
代わりにムオムという想像を絶するバケモノを登場させることでカバーしているのだが、このムオムをマモーが操っている感じがもっと出ていたらよかったのに。
加えて、ムオムと通訳(?)の美少女はキャラクターとしていただけない。
ルパンがマモーと接触しないなら誇大広告じゃないかと言いたくもなるが、結果としてマモーがクローンの価値に目をつける理由づけにした辻褄合わせはお見事ではある。
本シリーズで散りばめられた数々の伏線を本作で回収したと評価する向きもあるが、前作の偽ルパンは何者だったのか、ムオム(背後のマモー)がルパンたちを狙う理由は何だったのか、マモーは自身の不老不死が目的だったはずだが何故ムオムを生み出したのか、私にはサッパリ解らなかった。
クローンよりもムオムの方が開発難易度は高くないか、とも思ったりして。
とまれ、〝小池ルパン〟と呼ばれるオリジナリティを具現化した功績は称えられるべきだろう。
好き嫌いは別にして、あっぱれ!
kazzさん、コメントありがとうございます♪
実は私ルパンの映画で観た事あるのは1作目の複製人間と2作目のカリオストロだけなのです…。。
この作品はあまり観るつもりが無くて…たまたま観てしまったのです。そしたらめっちゃつまらなくて。。 ごめんなさい🙇♀️