劇場公開日 2025年2月14日

「終わりが見えない憎しみ合い」セプテンバー5 アベちゃんさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0終わりが見えない憎しみ合い

2025年3月2日
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鑑賞方法:映画館

ヒリヒリする映画だった。ミュンヘンオリンピック開催中に起きたパレスチナ武装組織「黒い九月」によるイスラエル選手団の選手村襲撃事件の発生から終結までをまるでドキュメンタリーのように映画化した作品。事件を生中継することになったテレビクルーの視点からだけで描く。スポーツ局のスタッフたちが連帯し、50年前のアナログ技術を駆使して映像を伝える熱意。図らずもその映像を犯人グループが見ていて警察の突入作戦は中止となってしまったが、。それにしても当時の西ドイツの政府や警察はなぜ人質全員殺害されるような事態を招いたのか?法律で軍を派遣できないとか、地元警察の少ない人数で対応したとか、今のようなテロ対策部隊はないにしても、もっと国をあげて対処できなかったのか、。この映画を観た後、自宅で「ミュンヘン」を見てその殺戮の映像を確認したが、とにかく悲惨である。復讐の連鎖がこれをきっかけに増幅したのは如何ともし難い。
ドイツ人でテレビ局の通訳もしていたレオニー・ベネシュを使いもっとドイツ側の視点があってもよかったのでは?でも「ありふれた教室」に続き好演していたのが良かったです。
イスラエルとパレスチナの憎しみ合いに終わりが見えないことが最大の悲劇である。

アベちゃん