「実況」セプテンバー5 U-3153さんの映画レビュー(感想・評価)
実況
ミュンヘンオリンピックでこんな事件が起こってたなんて知らなかった。
突発的に起こった「黒い9月」によるテロ行為。イスラエルの選手団を人質に立てこもったらしい。
途轍もないスクープだし、前代未聞のテロだ。
平和ボケしたとは言わない。
まさか、だったのだと思う。
大多数の人類には平和の象徴であっても、一部の人類にとっては世界規模のプロパガンダでもあるのだろう。
作品自体は時系列に沿って展開されていく。
アレは当時の映像なのかな?そんなものを交えて物語は進む。TVクルー達の混乱は勿論描かれる。が…そんな事も含めて視聴者の視点が提供される。
で、倫理観というか、放送理論というか…情報を提供する側の価値観を見る事にもなる。
1972年からマスコミの考え方って変わらないんだなと思うし、全世界共通なのかなとも思う。
もしくはこの事件を機に「報道規制」なんて言葉が生まれたのかもしれない。
内部ではなく外部の詳細をつぶさに報道する。
それしか報道するネタがないからだけど、テロ犯に情報を提供する共犯者みたいなもんだ。
鎮圧する側からすると邪魔でしかない。
クルー間の問題やユダヤ人差別が下敷にあったりはしたものの、根本的には「実況」だった。
センセーショナルな事件ではあったけれど、それを凌駕するような何かがあるわけではなかった。
何を読み取るかは個人の造詣にもよると思われる。
Wikiを読んでみたけど、それで十分だったとも思えるし、その事件に再注目させた功績はあると思われる。
気に入らないのは「よくやった」と言われた時のジェフのリアクションで…これが「大惨事だったけどな」と和訳される。
随分とブレてんなぁと思う。
言ってもいいけど独り言とかボヤきにすればと思う。
ああ、そっかと思ったのは、まだメディアとして絶大な影響力をTVが有してた時代、TVマン達は「揺るがない真実」に固執してたんだなと思った。
それだけが自分達のアイデンティティであると。
それから数十年が経ち、我国のTVの没落ぶりはほぼ自業自得なんだなぁと思えた。
政府もそうだけど公的機関が勧めてくるものに裏があるような気がしてならない。今じゃ、悪魔的な暇つぶしにしか思えないもんなTVって。
…余談だけと、今日NEWSで「中学生が生成AIと chatGPTでプログラミングを自作して楽天に不正アクセス〜」みたいなNEWSがあった。
俺的には凄い衝撃的なNEWSでもあったんだけど、このNEWSもいずれ埋もれていくんだなと思うと危機感みたいなものを覚える。
風化ではなくて上書きされてく状態かな。
なんか、何でもいいんだけど1つのNEWSを徹底的に掘り下げるコンテンツがTVにはあってもいいように思う。
が…そんな気概さえないのだろうなぁ。
TVとか消費されてく運命みたいなとこあるもんな。
色々間違えてきてるような気もするなー