劇場公開日 2025年2月14日

「緊迫感が半端なかった。」セプテンバー5 羅生門さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0緊迫感が半端なかった。

2025年2月19日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

怖い

興奮

知的

ミュンヘン五輪でのあの惨事は子供ながら朧気に覚えている。スピーバーグの「ミュンヘン」で、事件の裏側を知ったが、あの映画はイスラエル側の復讐劇が見ていて気持ちのいいものではなかった。今作品はそう言った意味では気が滅入ることはなかったが、報道局とスポーツ局の縄張り争いなど信じ難い話だ。普通なら報道局の下で現地レポートのみが筋だろうに。しかもドイツ内相と官僚の交渉場面、ドイツ警察が鎮圧に忍び寄る姿をそのまま生放送しているのには驚いた。時代とは言え、いくらスポーツ局員だとしても中止命令を受ける前に気が付くだろうに。地元警察らしきものが中継スタジオのサブに突入したが、普通なら政府直轄・国家中枢の公安などが大使館経由で命令するだろうに。ここら辺は本当に事実なのか、脚色しているのか疑問である。プロデューサーが通訳のドイツ人女性に両親のことを不躾に聞くのはこの企画の肝なのだろうが、さすがアメリカ人デリカシーを欠く、としたいのだろうけど、ちょっと露骨だ。少し前に見たばかり「ありふれた教室」のドイツ人女優レオニー・ベネシュと「ファーストカウ」「パストライブ/再会」のユダヤ系ジョン・マガロが出ていて得した気分。時間も適度でもっと見たいと思わせる尺で、お見事です。

羅生門