「ジャーナリストとしての功名とすり減った倫理観」セプテンバー5 bionさんの映画レビュー(感想・評価)
ジャーナリストとしての功名とすり減った倫理観
ジャーナリズムの本質は変わらない。それをまざまざと感じてしまう。
人質事件を知った放送クルーがとった行動というのが、スクープ(報道の一番乗り)への体制作りと情報の独占化。
彼らが商業メディアである以上、その行動は至極当然だと思うが、報道の使命というキレイな服をまとって自身の行動を正当化するプロセスが、描かれる。
独断でスクープを放ったスタッフは、結果オーライでお咎めなし。史上稀に見る視聴率ということでトップもご満悦。
その後の検証は、するわけないよね。当時だし。
彼らが良心を全部捨てているわけではなく、大学で学んだであろうジャーナリズム論を頭の片隅に置いて行動している。
ジャーナリストとしての功名とすり減った倫理観を天秤にかけながら事件と対峙する様子が、客観的に描かれている。
週刊文春と望月記者の言説が象徴的で、訂正はするが謝罪はしない。
結局のところ、いろんな報道を自分の頭で再構築して理解するしかないよね。
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