「【”リアル、テロ・ライブ”ミュンヘン五輪で起きたイスラエル選手人質事件を生中継するアメリカABCクルーの、視聴率か人命かを問いながら放送する臨場感が凄く、ジャーナリズムの在り方を問う重き作品。】」セプテンバー5 NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【”リアル、テロ・ライブ”ミュンヘン五輪で起きたイスラエル選手人質事件を生中継するアメリカABCクルーの、視聴率か人命かを問いながら放送する臨場感が凄く、ジャーナリズムの在り方を問う重き作品。】
■1972年9月5日。西ドイツ、ミュンヘン五輪の開催中、選手村でパレスチナ武装組織”黒い九月”は、パレスチナ人テロリスト500人の解放を要求し、選手・コーチ二人を殺害し、残り9人を人質として立てこもる。
その様を、アメリカABCスポーツクルーは、世界に向け生中継するのである。
◆感想
・中継を担当したのは、報道クルーではなくスポーツクルーである。専門ではない彼らはそれでも、報道する責務と他局との視聴率争いとの狭間で揺れて行く。
・西ドイツ警察は中々機能しないし、苛苛する中、彼らはドイツ人女性スタッフを通訳にし、更にはスタッフを選手村に潜入させスクープを撮影しようとする。
■だが、スポーツクルーたちは、途中で自分達が映しているTVが、選手村の部屋でも観れることに気付き、西ドイツ警察が放送を止めようとしても、彼らは一時は放送を中断するが直ぐに再開するのである。
選手たちが、テロリストたちと空港に向かい、銃撃戦になった時に、彼らはスタッフを空港に向かわせる。
そして、選手たちが救出されたという連絡が入り歓喜するが、それがあやふやな情報だと分かり翻弄される姿が、生生しい。
<ラストは、異様に重い。結局人質は全員死亡という連絡が入るのである。本作は、ミュンヘン五輪で起きたイスラエル選手人質事件を生中継するアメリカABCクルーの、視聴率か人命かを問いながら放送する臨場感が凄く、ジャーナリズムの在り方を問う重き作品なのである。>
■尚、この事件後、イスラエルの諜報機関モサドが、パレスチナに行った苛烈なる復讐劇はスティーブン・スピルバーグ監督の逸品「ミュンヘン」で描かれている事を、敢えて記す。