「エレクトラとエディプスの父は居たか」消滅世界 LukeRacewalkerさんの映画レビュー(感想・評価)
エレクトラとエディプスの父は居たか
他のレビュアーさんの評をまったく読まずに映画館へ足を運び、鑑賞後もやはりそのまま書いてます。
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蒔田彩珠の主演ということで観に来た。
何とか最後まで観終わった、というのが正直な感想。
約2時間、一種独特の不穏さを醸し続けていたのは、原作が創り上げた世界線か。
ラストは、雨音(演: 蒔田)が母殺しのエレクトラになることでもあり(実際に殺してはいないが)、同時に母として「子どもちゃん」と交わり、彼をエディプスに創り上げているように思える。
ところが、そこにはエレクトラが愛すべき父親も、あるいはエディプスが殺すべき父親もいない。無味無臭の愛憎劇の舞台だ。
しかし性愛も恋も存在しない世界にエレクトラやエディプスの存在理由さえ思いつかない。原作者の村田沙耶香は、その瞳の中に何を見ていたのだろうか。
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映像のトーンとしては、ずっと暗い。
明るい陽の光のもとでのショットですら、役者の表情が曖昧なほど薄暗く暗鬱である。
そういう画が好きな監督なのかもしれないし、原作からインスパイアされているのかもしれない。ここは鑑賞者の好みが分かれるところだろう。
残念ながら私の口には合わなかった。
蒔田彩珠は清原果耶と同じ23歳。2人とも極めて芸達者で、しかもけっこうクセのある役が多いとも思えるが、清原果耶ほど出演は多くない。
もっともっと役に恵まれても良いと思うのだが、本人や事務所側の意向があるのだろうか。是枝裕和監督の秘蔵っ子と言われていたのに。
