「正常という名の異常」消滅世界 ゾンビさんの映画レビュー(感想・評価)
正常という名の異常
冒頭から、いつまでも解消される事ない違和感。
政府やマスコミに押さえつけられてるわけではなく、抵抗せず、漂白された無機質の世界で、感情を出さず清潔な会話をする。
とてつもない違和感。
そして、それが常識であり、正常だと言わんばかりに、当たり前の様に受け入れる。
正常という名の異常。
この異常さは、物語後半の実験都市エデンに向かうに連れ、加速度を増してゆく。
ジョージオーウェルの「1984」や、テリーギリアムの「未来世紀ブラジル」と同じディストピアではあるが、無機質であるはずなのに滑り気
があり、もっと苦痛度が高い。
だが、この映画の住人も、観ている我々も何故かこの世界に魅了されている。
まるで心地良い拷問のようだ。
それはきっと原作の村田沙耶香のイノセントで生々しい世界観と、それを映像に落とし込んだ川村監督の力ではないだろうか。
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