「令和史上最低予算の宇宙人物かな」となりの宇宙人 鶏さんの映画レビュー(感想・評価)
令和史上最低予算の宇宙人物かな
かの名作『ビリーバーズ』と同じく、レオーネが制作を手がけた作品でした。『ビリーバーズ』で主要キャストを務めた宇野祥平が本作では主演を務め、同じく主要キャストだった北村優衣も端役ですが登場していました。内容的には『ビリーバーズ』ほど過激ではないものの、ヒロインを含む意外なエロティックシーンもあり、R15+指定にふさわしい内容となっていました(笑)
物語の舞台は、新興宗教をテーマとした前作から一転し、今作では題名通りに宇宙人が題材に。恐らく令和史上でも屈指の低予算で制作された宇宙人映画と思われるB級作品の真骨頂といった仕上がりで、なかなか楽しめました。お話としては、宇宙船の故障により地球に不時着した宇宙人・宙さん(宇野祥平)と、彼を保護し、宇宙に戻れるよう助力することになるアパートの住人たちとの、ハートウォーミングなコメディでした。
宙さんを「外国人」のメタファーと読み替えれば、欧米の物真似で排外主義が芽生えつつある現代日本への警鐘とも受け取れますが、そうした堅苦しい解釈は脇に置いて、肩の力を抜いて楽しむのが正解でしょう。
難点を挙げるなら、最も宙さんの保護に熱心だった田所(前田旺志郎)のキャラクター変化でした。想いを寄せていた涼子(吉村優花)に失恋したことを契機に、彼の行動が一変。交通事故で職を失い、失恋とあいまって極度の精神不安定に陥ったと解釈することもできますが、それにしても暴走ぶりが過剰で、観ていて少し引いてしまいました。
とはいえ、俳優陣は全体的に好演。宇野祥平はいつもながらの独特な存在感を発揮しており、ヒロイン役の吉村優花も瑞々しい魅力を見せてくれました。
そんな訳で、本作の評価は★3.4とします。