「どんどん(私の)ちからがぬけてきた。見逃さないでよかった。」YOUNG&FINE ふくすけさんの映画レビュー(感想・評価)
どんどん(私の)ちからがぬけてきた。見逃さないでよかった。
灰野勝彦(主人公の高校生)は最後まで、「ことをなす」が叶わない。
新井玲子と裸で抱き合っているのに、最後の最後は拒否される。
伊沢学先生といい感じになるのかなあ、と思ってみていると、結局何も起こらない。
伊沢先生も、新井玲子も、最後にひょいと現われた男たちにさっとさらわれてしまう。
縁とはそういうものだ。
海辺の田舎の背景がとてもやさしい。
大きな事件を起こさずに2時間の時間を埋めるのは多分、とても難しいことだ。
勝彦のお母さんもさわやかに、息子から自由になる(縛られていたわけじゃないけど)。
最後に原稿用紙の意味が明らかになる。
伊沢先生のアルコール依存も深刻には描かれず、勝彦の兄と婚約者が現れても、伊沢先生はおおきくは崩れないで済む。
伊沢先生が病院を退院しようとするとき、生徒たちが見舞いがてら迎えに来て、伊沢先生は一粒涙をこぼす。
もうこれで十分なのだ。
勝彦くんは美男子だが、二枚目と三枚目をたゆたって、地方の公務員となって、ああ、このまま、大きな事件は起こらないかも、という「普通」がしみてくる。
重くなり過ぎないことが、深いやさしさと落ち着きを観客にもたらす。
この平和は得難い。観てよかった。
女性が美しい。
久しぶりの「男女」の恋愛物語を見た。
ただ、大人の男女の恋物語はいま、存在できるのだろうか?
コメントありがとうございます。
何も起こらないけど主人公が少し成長するっていいですよね。
誰も死なない、入れ替わりもしない、過去や未来へ行かない、普通がいいです。
トミーさんコメントありがとうございます。
伊沢先生のところにいた仲間(スネオ)を見つけて、お互い、卒業だよな、といった感じに取りました。
顔を見せてすぐいなくなる感じが全体とマッチしていて、好きです。
いいかんじの映画でした。
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