「タクシードライバーは後方のトランクを開けたままにして、女性客を見送った」ドライブ・イン・マンハッタン 詠み人知らずさんの映画レビュー(感想・評価)
タクシードライバーは後方のトランクを開けたままにして、女性客を見送った
この映画は、タクシー(Yellow cab)のドライバー(ショーン・ペンの名演)と、真夜中のJFK空港で、たまたま彼のタクシーに乗った一人の女性客(ダコタ・ジョンソン、美しい)との会話で、そのすべてが成り立っている。どのような条件があれば、二人の間に、会話が成り立つのだろう。
一つは、タクシーに乗っている時間の長さだろう。渋滞がなければ、JFKからNY市内のマンハッタンだと50分前後、それでは、会話が弾むのは難しいかもしれない。この映画では、ある設定を設けている。
次は、どのように話の口火を切るかだが、タクシーの定額料金のこと、支払いにカードを使うかどうかだった。私は羽田空港から都心まで、定額のタクシーを利用することがある。JFKからNYのマンハッタンまで、定額だと70 USDだそうだから、円安を考慮すると、両者は、それほど違うわけではない。私の場合もドライバーさんと最初に話すのは、そのどちらかの話題が多い。運転手さんの中には、定額を好まない方もいるので。定額だと2千円くらいは安くなる。
三つ目は、ドライバーと客を隔てている仕切りだと思う。この映画では、女性客が自ら開けていた。
何を話したのかは、是非、映画を見て頂きたい。
彼らの短い旅は、一体どうなったのだろうか。車を降りるとき、魅力的な女性は、定額運賃の何倍ものチップをカードで支払う。それに対して、ドライバーはどうしたか?後方のトランクを開けてキャリーバッグを下ろし、トランクの蓋を開けたままで、彼女を見送る。女性の安全を保証していたのだと思う。
そうだ、このドライバーこそが、彼女にとって、Daddio(この映画の原題:父親)であったのだ。
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