「タイトルなし(ネタバレ)」ドライブ・イン・マンハッタン りゃんひささんの映画レビュー(感想・評価)
タイトルなし(ネタバレ)
ニューヨーク、夜のJFK空港からひとりの女性がタクシーに乗り込む。
人生経験豊富な運転手(ショーン・ペン)は、女性(ダコタ・ジョンソン)に軽い口調で職業などを訪ねる。
女性はプログラマーで、どうも先行き不透明な恋愛をしているようだ。
二度の結婚経験のある運転手は自身の結婚生活時代のことを語り、彼女の恋愛事情に忠告めいたものを与える・・・
といったところからはじまる映画で、ほぼ女性と運転手のふたりしか登場しない会話劇。
映画として作るには、すこぶる難しい類の映画。
脚本と演出の仕掛けとしては、途中遭遇する事故やスマホによる車外の人物などで変化をつけている。
そして、物語の軸足は、運転手のたくみなリードにより女性側へと移っていく。
なので、女性問題を扱った映画だと、まぁ、早い段階で気づく。
運転手が語る内容は、たぶん、世の男性が概ね考えていることなんだろう。
しかし、不愉快だ。
「男にとって、女は玩具」
先行き不透明な恋愛沼にはまり込んでいる女性にとっては、それは薄々わかっているのだが、どうにもこうにもならないのだ。
だが、見ず知らずの運転手へ「秘密の暴露」をすることで、ある種の浄化に繋がる。
悪くはないのだが、どことなく落ち着きが悪いのは、運転手の立ち位置かもしれない。
悩み事をきいてくれる良き父親のような存在。
「まぁ、そんなにズケズケ踏み込むなよ、運転手」とも思うが、それぐらいのことを父親に求めているのかもしれない。
また彼は、彼自身の今後の人生に対して重要になるだろうことは言っておらず、やはり女性と運転手は対等ではないような。
なお、原題の「DADDIO」は、呼びかけの言葉だそうだ。
「DAD(父親)」に由来しているのかしらん。