「人を選びそうだがおススメ枠(オンライン試写会の類は全てネタバレ扱い)」ドライブ・イン・マンハッタン yukispicaさんの映画レビュー(感想・評価)
人を選びそうだがおススメ枠(オンライン試写会の類は全てネタバレ扱い)
今年26本目(合計1,568本目/今月(2025年1月度)26本目)。
結局、初動が遅かった割には月単位で見ると30本はいきそう(32本までは確定している)んですよね。
さて、オンライン試写会に招いていただいたfansvoiceさまには感謝を。
女性の主人公(タクシー運転手の男性を主人公に取る向きもありましょうが)がタクシーに乗って降りるまでの会話、それだけです。それ以外のシーンはまるで存在しないので(女性がスマホを使うシーン、それに伴ってテキストチャットのシーンはある)、解釈に混乱することはなくほぼ楽しめるかな、といったところです。
ただそのことは裏を返せばストーリーの起伏がどうしても平坦になりがちという部分は抱えているわけで、ここは好き嫌いあると思います。といっても、こうした「わかりやすい」作品も良かったかな、といったところです。
一方でこの映画は「妙なところ」で混乱させる部分があり、そこがどうかな…といったところがあります(後述)。
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(減点0.3/スペイン語に関してある程度の考察力を要する)
まず、ストーリーの99%は英語(アメリカ英語)の展開で、スペイン語は2か所(だったか)でしか登場しません。ただ、その2か所とも、英語を話す2者(この映画に2人以外の登場人物はそもそも存在しない)の中で登場するスペイン語なので、スペイン語と英語の混成言語のようになっており(だから、スマホ(iphoneのように見える)でタイプするときに、スペルミスを示唆する赤波線が引かれている。英語設定にしているとそうなる)、そこの理解がやや困難です。
> 「すまないけど、混雑していて(時間通りに)つきそうにない」
ここの lo siento, stuck in .... の部分、「混雑に巻き込まれて」の stuck in は英語表現ですが、「申し訳なく思う」の lo siento はスペイン語表現で( siento は sentir の直説法現在の1人称現在の活用。「感じる」「相手の感情を察する」等のフランス語他と共通する意味のほか、スペイン語では「申し訳なく思う」の意味がある。不規則活用)、ここはある程度配慮が欲しかったかなというところです(フランス語でも3群系不規則活用)
> 「スペイン語を流暢に話してみたい」
聞き取れる範囲では(オンライン試写会である以上、何度か巻き戻しはできる)、 I want to habla espanol perfectamente. と言っているように見えるところ、ここもスペイン語と英語の混合表現です(want toと、それ以外)。
ただ、want to は助動詞に準じるものなのでその後には動詞の原形(辞書形)がきますが、habla は、hablar((言語などを)話す)の「直説法現在の3人称単数」(辞書形でも1人称現在の活用でもない。後者は hablo になる)の活用なのですよね…。 want to hablar か、want to hablo なら理解できても、want to habla はかなり謎です(ただ、それ以外の解釈ができないし、ここで英語とスペイン語の混合表現が出てくることはスペイン語との混合表現に慣れてしまっているというようにとることはできるし(なお、スペイン語がどうこうという話はそもそも出てこない。このあと、「そして、南米に行って観光をしたい」といった話だけしか出ない)、この部分は結構謎ではあります。
※ 日本では、スペイン語を母国語とする方はほぼいませんが、スペイン語とある程度の互換性があるポルトガル語(ブラジルポルトガル語)は、愛知静岡ほかで当事者がいるので、その部分を援用するとそうした方たちも何を言いたいかわからず混乱する。
※ ポルトガル語(ブラジルポルトガル、イベリアポルトガル語)でも、「話す」はかなり違い falar という語ですが、英語とポルトガル語(世界の実態として、英語とブラジルポルトガル語との混合でしか通常生じない)の混成言語としても、want to の後には動詞原形が来るので、そのときでも want to falar (三人称単数現在の fala には当然ならないし、一人称単数現在の falo にもならない) になるはずなので(この点、英語「だけ」が動詞の活用を失った(実質、三人称単数の-sと動詞の過去形の-edルール以外が消滅している)だけであり、ここはポルトガル語でもスペイン語でも極論フランス語でも、一般的に助動詞(言語として助動詞とは言わなくても、その後に動詞の原形が来る、英語でいうところの助動詞)の概念がある言語(ドイツ語含む)ではかなり違和感のあるところです(特に、この例でいえば、want to hablo なら理解できるが、 want to habla だと「彼・彼女の誰かに願う」という意味になるので(英語でいえば、 want her/him to (動詞の原形) の形)、そもそも論として「スペイン語を流暢に話してみたい」という「自分の願望」からずれてしまいます)。