「残念なリメイク」新幹線大爆破 ぺろさんの映画レビュー(感想・評価)
残念なリメイク
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新幹線大爆破のリメイクということで、オリジナルの良さを活かしつつ、身代金をクラファンで募ったり、いつでも状況をスマホで配信できてしまう現代の要素がどう絡まるのかとても楽しみにしていた。
結果、1975年のオリジナルの方が何万倍も面白かった。
高倉健の芯のある犯人役や、宇津井健の司令塔としてのリーダーシップ、また運転手、乗客や乗組員といった他の役者さんも大変リアリティのある演技をしていたが、それにくらべ現代版は薄っぺらい印象を受けた。
オリジナルの設定を無理やりこじつけたような犯人の動機は必要なかったように思われる。
せっかくリメイクするのだから現代の社会問題を絡めたもうすこし重厚な展開を期待した。
クラファンも結局お金を集めただけで必要なくなり、最後には日本人の良心を体現するだけで終了したのは残念。
前作のお金の引き渡しを船で川を降りながら、バイクに乗り継いだりするシーン、すごくハラハラしたからどうなるのか楽しみにしていたのになぁ。
この映画のテーマがよくわからない。誰も死なせないでみんなを救う、トロッコ問題を新幹線で実験してみたのかな?
「嘘の普通を壊したい」という、空気を読んで生きる、安定した日常をぶっ壊すのが犯人の動機なようだが、作品自体がご都合主義的展開でリアリティがなく、皮肉にも嘘だらけのように感じた。
犯人の経緯が描かれないので、動機が意味不明すぎるし挙動がおかしいので犯人なのも冒頭ですぐ観客にバレる。
いっそのこと草彅がサイコパス犯人展開だった方が作品に深みが出て面白かったのではと思った。
お世話になっている、東北新幹線はやぶさが頑張っていたのでその点だけは評価したい。
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