「新興奮大爆走…お仕事映画に大胆リブート!」新幹線大爆破 しゅうへいさんの映画レビュー(感想・評価)
新興奮大爆走…お仕事映画に大胆リブート!
Netflixで鑑賞(Netflixオリジナル映画)。
原作映画は鑑賞済み。
オリジナルを「分かっている」監督がつくった、リブートの歴史上最高のリブート作品だ。原作への愛をふんだんに盛り込みつつ、「お仕事映画」として令和の世に蘇らせている。
原作では得られなかったJR(当時は国鉄)の協力で実現した映像のリアリティと説得力が凄まじい。「乗客を守る」―その一念で奮闘する職業人たちの姿に、目頭が熱くなった。
仕事に対する使命感は果たして極限状態でも成立するのか。エゴが剥き出しになる車内で「仕事」に奮闘する主人公が、葛藤の末に尚も使命を全うしようとする様は感涙ものだ。
打ち出される数々の作戦は「シン・ゴジラ」のヤシオリ作戦を想起させ、興奮の坩堝に突き落とされる。しかもその瞬間が何度も来るから堪らない。手に汗握りっぱなしだった。
当時は技術上の問題で描けなかったのだろうスペクタクルシーンを、樋口監督十八番の特撮とVFXの融合で描出。そのクォリティーは言うまでもなく、世界に通用する迫力だ。
原作と世界観を共有した物語だったとは完全に嬉しいサプライズである。原作の事件が「109号事案」と呼称されているのがかなりリアルだった。さすが樋口監督、愛が深い。
原作の事件を今回の事件の背景に取り込んでいるのが素晴らしい。109号事案に人生を狂わされた者たちが嘘だらけの世の中に復讐を企てる。原作の犯行動機に通ずるものを感じた。
原作は悲劇的で後味の悪い結末を迎えるに至ったが、本作では「世の中捨てたものじゃない」と云う希望を持たせたラストシーンで締める。見事な原作へのアンサーではないか。
やはり、樋口真嗣は「分かっている」。
[余談]
原作は何分男臭い映画であったのに対して、本作では女優陣の活躍が目立っているのが良い。これも現代風だろう。
のんの運転士役が様になっていた。個人的には、原作の千葉真一よりものんの方が断然演技が上手いように思う。
プロとしての矜持が透ける演技が見事で、「死んでも止めませんから」に宿った意志の強さに胸を打たれた。
意外な犯人役の豊嶋花は、本作で演技が開花したのではないかと思わせるくらいに、しびれる名演で魅せてくれた。
キャラの背景を全身から滲ませ、「嘘の真実」と称する人間の本性を暴く壮大な社会実験を引き起こした犯人を熱演。
冒頭から違和感を感じさせる些細な芝居や、犯人だと明かされた後の表情の怖さは一級品だ。ブレイク間違い無し。
今作の「新幹線大爆破」に出演した豊嶋 花は、以前、NHK朝の連続ドラマ「あまちゃん」にしてたので、「あまちゃん」をいつも見てた「あまちゃんファン」の人達にも今作は、是非見てもらいたい作品です。
豊嶋 花は、以前は「豊島 花」という名前で、豊島 花→豊嶋 花、
主演ののんが能年玲奈→のん。
もう「あまちゃん」はとっくに放送終了してるけど、この二人が「あまちゃん」の時とは制服も変え、演技も変え、さらには名前をも変えて、「あまちゃん」の舞台となった地を新幹線で通る訳で、しかもピエール瀧も出演してるので、今作「新幹線大爆破」の"隠しキーワード"は、実は「あまちゃん」です。
そういった意味でも、「あまちゃんファン」の人達にも是非見てもらいたい作品ですが、「じぇじぇじぇ〜!」って驚くかな?。。。