今日の海が何色でも

劇場公開日:2025年1月17日

今日の海が何色でも

解説・あらすじ

タイ南部の海辺の町で出会ったふたりの女性がひかれあう姿を、環境問題をテーマにしたアートを交えながら美しい映像でつづったドラマ。

イスラム教徒が多く暮らすタイ南部の町ソンクラー。かつてこの町には美しい砂浜があったが、高潮によって侵食され、現在は護岸用の人工の岩に置き換えられている。保守的なイスラム教徒の家庭に生まれ育ったシャティは親から結婚を急かされているが、親が決めた相手と結婚させられることに疑問を抱いていた。そんなある日、シャティは町で防波堤をテーマにした美術展を開くため都会からやって来たビジュアルアーティストのフォンと出会い、彼女を手伝うことに。正反対の環境に生まれ育った対照的なふたりは、互いを深く理解していくなかでひかれあうようになるが……。

本作が長編劇映画デビュー作となるパティパン・ブンタリクが監督・脚本を手がけた。2023年・第28回釜山国際映画祭ニューカレンツ部門にてNETPAC賞(最優秀アジア映画賞)を受賞。

2023年製作/93分/G/タイ
原題または英題:Solids by the Seashore
配給:Foggy
劇場公開日:2025年1月17日

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映画レビュー

3.5 静かな語り口で彼女たちの選択を示す

2025年9月20日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

少し前に観たインド映画「私たちが光と想うすべて」を連想させる静かな語り口。「私たち」よりさらに静かでささやくようなトーンである。舞台はタイの最南部のソンクラー。シノポルトギー様式というのかパステルカラーの街並みが烟る様に美しく、人通りは少なくて眠ったような海辺の町である。とはいえ環境問題、防波堤によって浜が削られていくといったことがあり、関連して市長が殺害されたということが実際にあった。映画でも少し触れている。そもそも本作の英語タイトルは「Solids by the Seashore」でこれには漂着ゴミだけではなく防波堤なんかも含まれているみたい。だから女性2人のドラマ、彼女たちがどのように選択肢をとるか、が淡々と進んでいく一方で、背景に何か不穏なものも感じられるのである。終盤に2人が目撃する大火球は何なのだろう?実はソンクラー以外の世界は既に滅んでいたとかちょっと考えてしまった。「メランコリア」かよ。おい。
主役のシャディとフォンに話を戻すと、フォンは芸術的に影響を与えられた男(付き合ってもいた?)から完全に独立してかつ、自分に自信をもちたいねっていう話だが、シャディは親の決めた結婚を断って、多分、宗教も捨てて、フォンとの同性愛を選ぶということなのでなかなか容易ではないよね。
エンディングでも、2つの映像(予定通り婚約者と結婚するのとフォンと一緒になるのと)が提示されどっちを選択したかは明らかにはなっていない。ただ、婚約者との映像は鏡に映されたものだから、フォンに鏡を塗りつぶした作品があることと関連付けて、婚約者と一緒になる選択肢はシャディが封印する可能性が高いっていうことだろう。
この婚約者はイスラム教の導師で将来有望、礼儀正しく一見優しく見えるけど、最後の映像では堤防で魚の揚げ物(さつま揚げみたいのものか?)を一人で食べていて将来の妻に勧めたりはしない、やっぱりその程度の男だから結婚しないほうが良かったね、とは思ったけど。

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あんちゃん

3.0 会釈の仕方が日本と同じ

2025年6月12日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

海岸線や料理の味付けやアート表現のように変化し続けるものと、信仰や家父長制のように変化し難いものとの速度差に苦しむ者達のささやかな抵抗と微かな希望。
フォンは服を脱ぎ捨て、シャティはヒジャブを外して文字通り一皮剥けようとするのだが、対照的に描くことで宗教的束縛が強調されているようにみえた。どちらも同じくらいの勇気がいるのだ。
それにしても、イスラム女性の髪を延々と撮るのはかなり攻めた表現じゃないだろうか。

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ひろちゃんのカレシ

4.0 裸体がとても綺麗でした。数秒ですけど。(^_^;

2025年1月20日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

環境変化 温暖化等で 浸食される海岸線
人々の考えも 変ってゆく過程が 丁寧に
描かれていて美しいです。
レズっぽいのかな??と思いましたが そーでもない感じ。
ほのぼのとした 雰囲気も よござんした。
昔々 ダイビング仲間と 満月の夜 マッパで泳いだのを
思い出しました。

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Hammer69

5.0 タイLGBTQ映画の傑作

2024年12月10日
PCから投稿
鑑賞方法:その他

知的

幸せ

大阪アジアン映画祭で鑑賞しました。その後、気になっていましたが、来年1月の公開が決まったようです。

タイはLGBTQに寛容かと思っていましたが、この映画の舞台のタイ南部にはイスラム教徒が多く、LGBTQの権利はまだまだ守られていないようです。

2人の美しい女性の物語ですが、防波堤の環境問題をテーマにしたアート、宗教の考え方、伝統と家族との接し方等、深いテーマの映画で、まるでテレンス・マリックのような演出と映像美には息をのむ感じだったと覚えています。

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afroninja

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